流行語大賞はもう限界!? 「本当の流行」はグーグルが教えてくれる

今年の検索語No.1はあの言葉
森田 浩之 プロフィール

だから「新語・流行語大賞」のゆるさは、きっとちょうどいいのだ。

〈はあ? こんな言葉、知りませんが〉
〈え? どこで流行っているの?〉

などと、気軽に誰もがネット上で言えるし、政府を批判する言葉や団体名が大きく取り上げられたことが気に入らなければ審査員の悪口も言える。それもこれも含めて、年末恒例の行事として確立しているのだろう。

「新語・流行語大賞」にはこのゆるさを保ちつつ、ぜひとも長生きしてほしい。年末のニッポンには、誰かが「今年の言葉はこれですよ」と言って、まわりが「それはないでしょ〜」と大合唱する場がきっと必要なのだ。

そのためには「新語・流行語大賞」には、今のような権威を徐々に失っていただき、冒頭に書いたような「紅白歌合戦」化の道をたどってもらいたい。ぼちぼちでなんぼ、なのである。

今年を表す漢字は「安」「盗」「福」「丸」?

さて、僕たちが次に迎える年末の言葉のイベントは、15日(火)に発表される「今年の漢字」だ。このイベントは審査員がいるわけではない。一般公募で最も応募数の多かった漢字一字ということになっているから、先ほど紹介したアメリカやイギリスの「今年の言葉」に似て、批判しにくい。しかも、その漢字を京都・清水寺の偉いお坊さんが大きな筆で書くから、ますます権威を持ってしまって突っ込めない。

せっかくだから、2015年の「今年の漢字」を予想してみたいと思う。

たとえば「」。理由は、倍政権の保関連法案が強行採決されたとか。あるいは「」。2020年東京オリンピック・パラリンピックのロゴマークがパクリ(用)疑惑で取り下げられたり、STAP細胞の小保方晴子さんの博士号が博士論文にも用などが認められたとして取り消されたり。

あるいは「」。「山雅治ほか大物芸能人の幸な結婚が続いたことで」とか、理由はいくらでもつけられそうだ。

個人的な推しは「」という字だ。上に書いたロゴマークも小保方さんも含め、なんだか次々と「く」対象を、ニッポンは追いかけ回しているようにも思える。けれども、「」は基本として動詞だから、「今年の漢字」としては収まりが悪いだろう。

もうここは、みんな正直になっていいんじゃないか。「今年の漢字」は、ラグビー日本代表・五郎丸歩選手の「」で決まりだろう。「日本のさまざまな問題がく収まるようにという願いも込めて」などという言い訳もつけ加えれば、それこそく収まる。

だって僕は忘れていない。ラグビーの日本代表がワールドカップで南アフリカに歴史的な逆転勝ちをしたときの記事で、一部の新聞は「五郎丸」にふりがなをつけていた。その人が今や国民的英雄なのだから――。

清水寺の森清範貫主が「丸」の字を揮毫(きごう)する前に、五郎丸のルーティーンのポーズを決めてくれる……なんてことは、さすがにないだろうが。

森田浩之(もりた・ひろゆき)
ジャーナリスト。立教大学兼任講師。NHK記者、『Newsweek日本版』副編集長を経てフリーランスに。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)メディア学修士。著書に『メディアスポーツ解体』『スポーツニュースは恐い』、訳書にコリン・ジョイス『「イギリス社会」入門』、サイモン・クーパーほか『「ジャパン」はなぜ負けるのか』など。

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