ガン治療の名医100人【部位別完全リスト】~この人でダメなら仕方ない

「神」に抗ってくれる男たち
週刊現代 プロフィール

がん患者の悩みに、もっと直接的に関わる医師もいる。順天堂医院で「がん哲学外来」を担当する樋野興夫氏だ。

「私はアスベスト・中皮腫を研究しています。治療法もほとんどない難病で、患者さんたちと向き合ううちに対話の大切さに気付き、がん哲学外来を開きました」

患者たちに「地元の宝」と愛されて

普通の医者は技術面で秀でていても、「対話者」としての教育を受けていない場合が多い。だから誰かが患者の胸中をケアしてあげないと「医療の隙間」が生じてしまう。

「私は患者さんと対話をしながらその悩みを理解し、『言葉の処方箋』を出すことにしています。新渡戸稲造や内村鑑三といったキリスト者の言葉から選んで、3つか5つくらいを紹介するんです。そのうち1つくらいは患者さんの心に届き、悩みを軽減できる」(樋野氏)

治療がもはや難しいとなったとき、それでも戦おうとする医師もいる。茨城県立中央病院で消化器全般を担当する外科医、吉見富洋氏だ。吉見氏はがんセンターや大学病院で「手術不可能」と言われた患者を積極的に引き受けることで有名だ。

「人柄としては、陽気でとても快活、まっすぐな方です。他の病院で手術を断られた患者に対しても、ぎりぎりの可能性を探っている」(国立大学のがん専門医)

ただ、あまりに率直で歯に衣着せぬものの言い方のせいで、上司と衝突したこともあった。そのせいで、一時期、病院内で干され、診療に関われない部署に飛ばされたこともあったという。

「ところが、かつて吉見先生に手術をしてもらって完治した患者さんたちが、地方新聞に意見広告を出したのです。『私たちは吉見先生のおかげで命を永らえました。先生は地元の宝です』というような内容でした。この広告のおかげで、吉見先生は現場に戻ることができました」(前出のがん専門医)

良い医者は「病を診るのではなく、人を診る」と言われるが、逆もまたしかりだ。良い医者に出会った時、患者は「メスやクスリを信じるのではなく、人を信じる」のだ。吉見氏は、その典型的な例だと言える。

今回、紹介した100人の医師たちは、手術の技量、最新の薬や治療法に関して申し分のない知識を備えている上に、人格者として患者や医療関係者の尊敬を集めている人たちばかり。もし不幸にしてあなた自身や家族が病に臥すことになったら、「一緒に戦ってくれる仲間」を探すための一助にしてほしい。