ガン治療の名医100人【部位別完全リスト】~この人でダメなら仕方ない

「神」に抗ってくれる男たち
週刊現代 プロフィール

もっとも「親切」でありさえすればいい医者になれるかといえば、当然ながらそうはいかない。自分の腕に自信がなく、ただ親切に対応することでしか患者の機嫌を取ることができない医師も多いからだ。中原氏が続ける。

「特に外科は手術に長けて、自分の腕に自信がなければ患者にきちんと向き合うことはできません。医者から称賛される医者は技術力もあり、信頼できる人が多い。

ただし腕がいいと評判でもそれを鼻にかけていては進歩がない。サッカーですごいフォワードがいても、周りから嫌われていたらパスが来ません。それと同じで人間性を疑われたら、助手や看護師との連携が取れないし、手術を頼まれることもなくなり、症例を積むことができません」

自らも乳がんを患った経験のある医療ジャーナリストの増田美加氏は、心ある医師、信頼できる医師の条件として「仕事以外の時間を使って、患者会を支える活動やがん治療に関する啓もう活動を行っていること」を挙げる。

「例えば、乳腺外科の第一人者である中村清吾先生です。もともとは聖路加国際病院でブレストセンターを立ち上げて、一通りの体制が整ったので後進に道を譲り、自らはそれまで乳腺外科が充実していなかった昭和大学医学部に移られました。

日本乳癌学会の理事長も務めていて超多忙なのですが、患者会から声がかかれば暇を見つけてセミナーや講演会に出かけていく。忌憚なく思ったことを伝えるタイプで、患者さんたちから慕われています」

一人でも多くのがん患者を救いたいという理想に突き動かされている医師は他にもいる。NTT東日本関東病院の堀夏樹氏もその一人だ。もともと泌尿器科だった堀氏は、もはや手術や完治するための治療法もないような患者を自宅に帰してあげたいという思いから、30年以上にわたって、在宅医療などの緩和ケアを進めてきた。医療ジャーナリストの安達純子氏が語る。

「以前は病院の仕事が終わってから在宅訪問を続けていました。自分の利益や時間を度外視して、患者のそばに寄り添ってきた類いまれな人材です」

元国立がんセンター中央病院長で自らも大腸がんを患った土屋了介・神奈川県立病院機構理事長も、術後ケアの大切さを強調する。

「研究者としては優れていても、手術をした後、患者さんをほったらかしにして、その後の治療に誠意のない医者が多いんです。患者さんのアフターケアをしっかりできる医師は信頼できますね。

がんの手術は心臓手術と違い、切って終わりではなく、手術後からの予後治療が長い。 

だから私はあまり『神の手』をもてはやしすぎるのは問題だと思います。きちっとした手術でも再発するのが、がんという病。今後ロボットを使った手術が増えれば、患者さんを助けるのは技術による勝負ではなくなる。再発したときに、きちんと患者の面倒を看られる人が、手術の名手よりも重要になるのです。

その意味で、中山治彦氏(神奈川県立がんセンター)、鈴木健司氏(順天堂医院)や横井香平氏(名古屋大学病院)は手術の技術も優れているが、アフターケアをしっかりとしています。また、鈴木聡氏(荘内病院)や的場元弘氏(日赤医療センター)など、緩和ケアを専門にしている医師は正面から患者の不安に向き合ってくれるはずです」