五郎丸らW杯メンバーが厳選!
〜2019年日本大会に向けて覚えておきたい「最高のラガーマン10人」

1位はあの万能選手
週刊現代 プロフィール

だから試合に出なくても、出るメンバーのためにできることに全力を尽くした。練習場では、選手が気持ちよくプレーし、けがにつながらないよう、ごみを自ら拾った。試合前日の選手ミーティングで気持ちを高めるビデオレターを作るため、代表から落選した選手や代表選手が所属していないチームの人からもメッセージを集めた。なぜ自分の欲求を抑えられたのか。

「僕は慶大でも主将でしたが、当時はプレーで引っ張ればよかった。東芝に入っていろんな経験を積む中で、徐々に考え方が変わりました。

僕はつらいことは大抵忘れられますが、東日本大震災と、主将のときに起きた不祥事ははっきりと覚えていて、そのことが影響しています」

入社5年目の'08年に東芝の主将に就任。そのシーズンが佳境に入った'09年1月以降、外国籍選手による窃盗、ドーピング違反と不祥事が続いた。

「二つも続いたら、部の存続は厳しい……」

廣瀬はラグビーができなくなることを覚悟しながら主将として、社内外の人に頭を下げ続けた。

「心はパニック状態でした。でも社内の人が、部を残そうと動いてくれたり、『残っている部員は悪くない』という他チームのファンの方々の声には救われました。本当の感謝の気持ちは、本当につらい時に心から感じる。『自分たち選手だけの力で、ラグビーをやっているわけではない』とあの時、痛感しました」

27歳の冬。突き刺す木枯らしのような試練が廣瀬の視野を大きく広げ、今やラグビー界のスターにのぼりつめた男すら惹きつける人間になった。

善行を口にしない「男気」

では、廣瀬は誰に惚れたのか。

「ひとり、というわけにはいきませんね。ゴロウ(五郎丸)もキンちゃん(大野均)も、すごい。共通していたのは、『'19年につなげたい』という覚悟だと思います」

五郎丸について、廣瀬はこう続ける。

「チーム発足当時から一緒にやってきましたが、最初は、今のように言葉もふるまいもリーダー、という感じではなかった。言葉ではなく、プレーで引っ張るタイプでした。

でも、メンタルコーチの荒木香織さんの指導で、感覚でやってきたプレーをあえて言語化し、自分を客観視する習慣を身につけた。それを成長のきっかけにしたのは、すごいことです」

一方、五郎丸には「ブレない」強さもある。ラグビーライターが明かす。

「自伝『不動の魂』(実業之日本社)は、昨年11月に発売されましたが、五郎丸はかねてから少年少女へのラグビー普及や震災復興への思いがあり、印税を寄付することを前提に、本が作られました。

五郎丸は印税を、日本ラグビーフットボール協会や、震災支援を目的にした日本代表選手たちによる社会貢献活動、『SAKURA基金』に全額寄付している。W杯で一気に注目を浴び、6万部販売されているので、約500万円を寄付したことになる。五郎丸は、このことを一切言わない。それが、かえって『男気』を感じさせます」