中国理解の急所はココだ! 「知の巨人」エズラ・ヴォーゲルが描く鄧小平

【まえがき公開】『鄧小平』(聞き手:橋爪大三郎)
エズラ・F・ヴォーゲル, 橋爪大三郎

ヴォーゲル博士は、賛成してくれたが、いくつか条件がついた。日本語版の出版に尽力した日本経済新聞出版社に迷惑をかけないこと。日本語版の出版から、まる2年以上、時間を空けること、などなど。版元は、講談社現代新書がひき受けてくれることとなり、企画がスタートした。

インタヴューは、2013年10月に1回、2014年11月に3回、の計4回。場所は、ハーバード大学近くのヴォーゲル博士の自宅。日本語で行なわれた。その記録を、私が整理し、原稿にまとめて、ヴォーゲル博士に目を通していただいた。また、日本語版の翻訳者である益尾知佐子氏に、原稿に丁寧に目を通していただき、いくつかの誤りを修正することができた。

こうした準備を経ていま、本書が、日本の読者の手に届けられることになったのは、とても嬉しい。

本書は、ふた通りの役割がある。ひとつは、『鄧小平』(本編)を読みたいなと思いながらも、手が伸びないでいた読者に対して。著者のヴォーゲル博士が、鄧小平と現代中国についての本質を、ずばりとわかりやすく話してくれる。本書がいわば予告編となって、『鄧小平』(本編)にチャレンジしようという意欲が湧くはずだ。

もうひとつは、すでに『鄧小平』(本編)を読み終えた、読者に対して。ロードショーの映画館で売っているプログラムの製作ノートみたいに、大作の舞台裏や、読みどころ、事情で収められなかったエピソードなど、本作をいっそう深く味わうために役に立つ。要するに、この『鄧小平』(新書版)は、『鄧小平』(本編)と二人三脚なのであり、一粒で二度おいしいヴォーゲル博士の世界が楽しめるのである。

それでは、エズラ・ヴォーゲル博士の描く、鄧小平とその世界を、心ゆくまで楽しんでいただきたい。