丸山ゴンザレスがセブ島「墓場のスラム街」を歩く!~『クレイジージャーニー』裏日記③

丸山 ゴンザレス プロフィール

このほかにもセブの「闇の部分」とされる場所もある。街から外れた海沿いのイナヤワン地区にあるダンプサイト(ゴミ山)とそこにスラム街をつくって住んでいる人たちだ。ここも残念ながら、2014年末から2015年頭に移転してしまった。

時期的に2014年ごろからセブの行政は本格的に浄化作戦を開始したとも見ることが出来る。行政がスラムの浄化作戦を実行しようとすると、こうした火事や関係者の突然死がおこる。なぜだか、タイミングが符合するのだ。

いずれにせよ、現在リゾート地として観光産業に力をいれているセブ島では、人目につく範囲から、ゴミ山やスラムを排除しようとしているのは間違いない。島内には多くのショッピングモールが建設され、リゾートホテルもある。島の雰囲気も悪くない。

ただ、それはあくまで観光客目線に立った場合の話だ。では、その裏に隠されたものはなんなのか。私はそれを確かめるべくロレガを取材をはじめた。

なぜフィリピンでは12月に強盗が増えるのか

ロレガまでは街の中心部からタクシーで約20分。「9月が終わればクリスマスシーズン」といわれるほど、フィリピンの人たちはクリスマスに力を入れている。クリスマスに向けて強盗してでも資金を作ろうとする人もいるらしく、12月などは1年で一番強盗が多いそうだ。

そんな強盗たちがタクシーを狙うときには、交通渋滞にハマって動けなくなっている隙に押し入ってくることもあるという。その対策のため、どんな短時間でもタクシーに乗るときはロックするようにしている。それがわずか20分の距離であろうともだ。

実際、これから行く場所はスラムである。火災で大部分が消失していたとしても気を抜くつもりはない。次第にタクシーは、ごちゃごちゃと建物が密集するエリアに入っていく。スマホのGoogleMapで確認すると、どうやらロレガの周辺エリアに入ったようだ。

車から降りると、軽い落胆と安堵が押し寄せた。

ロレガ・ストリート沿いの町並みこそごちゃごちゃとしているものの、奥が遠くまで見通せる。スラムの怖さは「横道」にあると私は思っている。表から見通せないところには、闇が生まれる。そして、闇には様々なものが身をひそめることができるからだ。

本来ならばセブ島で一番危険な場所と呼ばれるにふさわしい雰囲気をまとっていたであろうが、火災の影響で道は拡張され、建物も改築や新築されたものが並んでいる。少し拍子抜けしたのも事実だ。