『世界一受けたい授業』の河合敦先生が教える
「戦国時代の上司と部下」

河合 敦 プロフィール

リストラ先は「死か、高野山か」

その反面、使えないと思えば、たとえ古くからの重臣といえど躊躇無く切るのも、信長流でした。かつて武功を挙げた佐久間信盛は、過去の失態がねちねちと書かれた十九条におよぶ折檻状を渡され、「死ぬか、高野山に行って坊主になるか」と迫られた結果、高野山に入りました。今後の戦略上必要ないと思えば、リストラも辞さないのが信長のスタイルなのです。

まるでブラック企業じゃないか、と思う人もいるでしょう。降格されたり、捨てられたりした武将はそう感じるかも知れませんが、それは能力がないと判断されたため。一方で成果を出せば家柄がない者にも国を与えているのですから、ある意味でフェアとも言えます。

500年前に外資企業的経営を行った信長が、今生きいてたら、どんな組織を作ったでしょう。明智光秀が信長を討った理由は、はっきりしていません。恨みがあった可能性もありし、天下を取りたいという思いもあったはず。秀吉黒幕説、家康黒幕説など、諸説ありますが、結局は仮設の域を出ていません。

いずれにしろ、信長は「本能寺の変」でナンバーツーだった光秀に殺され、残ったもう一人のナンバーツー、秀吉が光秀を殺すことにより、大きく歴史が動くことになったのです。

(取材・構成/平原悟)

監修/河合敦(かわい・あつし)
歴史作家・歴史研究家。文教大学付属高等学校にて日本史を教えるかたわら、日本テレビ『世界一受けたい授業』、テレビ朝日「ぶっちゃけ寺」などに出演。『なぜ、あの名将は敗れたのか?』(洋泉社刊)など、著書多数。
決戦!本能寺
織田信長が殺された「本能寺の変」。戦国を揺るがした事件の裏にあった人間関係と思惑を葉室麟・冲方丁・伊東潤・宮本昌孝・天野純希・矢野隆・木下昌輝著ら7人の作家が描く。乱世の英雄・織田信長を、討った男、守った男、そして、何もできなかった男たち――。その瞬間には、戦国のすべてがある。大人気シリーズ累計六万部突破の第三弾!!
2015年11月17日発売。講談社刊 定価:本体1,600円(税別)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062198035

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