この国からマンション偽装がなくならない理由~「姉歯事件」から10年。ヒューザー元社長が国交省の「大罪」を告発する!

藤岡 雅 プロフィール
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国交大臣認定の「欠陥システム」

ところが、国交省はこの議論を封じ込めたかったのだろう――と私は考えています。それは耐震偽装事件の端緒が、国交大臣が認定していた「構造計算プログラム」の欠陥にあったからです。

元一級建築士は、このプログラムを用いて構造計算をし、行政に提出するための計算図書を作っていました。しかしこのプログラムでは、たとえ耐震偽装をしていようと、報告書を作成することが可能だったのです。このことだけでも重大な欠陥プログラムと言えるでしょう。

耐震偽装を発見するためには、このプログラムにもう一度、構造計算の数字を打ち込みさえすれば、事足りることでした。ところが、建築確認を行なうイーホームズや行政機関、そして国交省のいずれもが、この「構造計算プログラム」を持っていなかったのです。

国交省は、この杜撰なチェック体制に責任追及の手が及ぶのを避けたかったのだと思います。国政でも、その後の対策委員会でも、積極的にこの問題が議論されることはついにありませんでした。

元一級建築士や私個人に対する刑事訴追によって、問題が矮小化され、欠陥マンションが建つのを防ぐための改革の機運は失われてしまいました。ザル審査で欠陥マンションに「建築確認」を出してしまうような検査機関や国交省。それに対し、責任を負わせる法律は未だに整備されていません。

これは恐ろしいことです。もちろん、10年前の私には、欠陥マンションを意図的に作ろうという考えなど全くありませんでした。しかし、あの元一級建築士のようにとんでもないことをする人が出たり、そうでなくても何らかの誤りで違法建築の申請をしてしまったりすることは、いつでも起こり得ることなのです。

それなのに検査機関や行政が、いい加減なチェックで「合法」というお墨付きを与えてしまっている。行政のチェックが甘ければ、設計や施工業者の仕事にも緊張感が失われてしまうでしょう。それが、欠陥マンションが続出する原因だと思います。