知っておきたい子育ての鉄則
〜いつか「私の不幸はお母さんのせいだ!」と言われないために

キャリル・マクブライド

娘は友だち

あなたは「友だちみたいな娘がほしい。親密な母娘関係を結びたい」と思っているかもしれない。だが、娘が成人してもあなたはやはり母親であり、娘を理解し、共感や助言を与える親としての義務を負う。それらは娘の役目ではないのだ。

ジャンはふたりの娘をセラピーに連れてきた。娘たちが見せる苛立ちにとまどっていると言う。わたしはしばらくジャンに席をはずしてもらい、娘の話を聞いた。ケータイを買ってもらえないとか門限が早すぎるといった、ありがちな話かと思っていた。ところがじっさいは、母親が気分の落ちこみをまぎらわせるために娘に寄りかかり、娘を苛立たせ、無力感を植えつけていたのだった。

学校から帰ると、娘たちは毎日のように母親のそばに座らされて泣きごとを聞かされ、いいかげん嫌気がさしていたのだ。ジャンは自己愛の強い心身症の母親に育てられた。ジャンもいつのまにか、心の問題やストレスが身体の症状に表れるパターンに陥っていたのだった。

回復のカギは?

あなたにとって回復のカギは、自分自身をいたわることだ。それは自分のことばかり考えることでも、周囲の気持ちをないがしろにすることでもない。「なにもかも自分がいちばん」という母親に悩まされてきたにもかかわらず、その点を勘ちがいする娘は多い。

マーニは三人の子どもの母親だが、わが子の世話を忘れ、回復のためと称して豪華なドレスや宝石を購入し、ひとりで旅行に出かけた。子どもが警察沙汰になったとき、マーニは海辺で肌を焼いていた。子どもはその姿を見て、腹を立てると同時に驚いた。ふだんの母親とはかけ離れた行為だったからだ。マーニも勘ちがいしていたのだった。

自分をいたわる健全な方法は、充足感を見つけだすことだ。そうすればエネルギーや愛情がわき、共感も示せるようになる。「白か黒かの中間地帯」を見つけることは、自分のことばかりか、自分がまったくなしかの「両極端な状態」に自分を置くことではない。

「中間地帯」の見つけ方については第3部で詳しく紹介しよう。

さて、あなたは母親の自己愛が娘の人生におよぼす影響について理解した。これで、回復へと踏みだす準備が整ったはずだ。

第3部へとつづく。

第1部:自己愛の強い母親が、ムスメを不幸にする!
その「束縛」から逃れる方法

***

『毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供』キャリル・マクブライド著/江口 泰子訳

680円(税別)/講談社+α新書

「私の不幸はお母さんのせい?」
──自己愛が強すぎる母親の束縛から逃れ、真の自分を取り戻す。
自己愛の強い母親に育てられ、欠落感を抱え、愛されているという実感を持てなかった〈自己愛マザーの娘〉である著者から、同じ悩みに苦しむあなたへ──

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら

マクブライド・キャリル
Ph.D.―公認心理療法士。結婚および家族問題のセラピストとして25年以上の経験を持つ。過去17年にわたり、自己愛の強い親に育てられた子どもたちの調査・研究にたずさわっている。コロラド州デンバー在住
江口 泰子
法政大学法学部卒業。編集事務所、広告企画会社を経て翻訳業に従事。主な訳書に『21世紀の脳科学 人生を豊かにする3つの「脳力」』『ケネディ暗殺 50年目の真実』(講談社)、『考えてるつもり』(ダイヤモンド社)、『道端の経営学』(ヴィレッジブックス)『マイレージ、マイライフ』(小学館)、共訳に『真珠湾からバグダッドへ』(幻冬舎)など