「日本の格闘技ブームがなぜ廃れたか、その理由を教えよう」
ヒクソン・グレイシー独占インタビュー!

岡田 真理

ヒクソンは、「PRIDEが始まった頃は、ルールも選手の姿勢も“戦”を意識した試合が多かった」と振り返る。

それを見た日本のファンが共感できたからこそ、PRIDEはあれだけのブームを生み出せたのでしょう。しかし、今もっとも人気があるとされるUFCは、“戦”ではない。あれは“ゲーム”です。判定になったときに、客観的に勝敗がわかりづらい。つまり、完全決着にならないのです。

武士道精神を持った日本人は、”ゲーム”を受け入れなかった。だから、UFCは日本であまり浸透しなかったのだと思います。

昨今の格闘技イベントが果たせなかった、武士道精神の継承。それをRIZINがどこまで体現できるのかが、見どころのひとつと言えるだろう。

父として、指導者として見たクロン・グレイシーの魅力とは

前述のとおり、今大会では、ヒクソンの息子クロン・グレイシー(27歳)のRIZIN参戦が決定している。対戦相手は、レスリング選手・山本美憂の長男、山本アーセン(19歳)だ。グレイシー一族の血を引くクロンと、レスリング最強DNAを持つアーセンの、格闘一族同士の戦いとなる。

今回はMMAルールでの対戦だが、クロンはMMAの試合経験がこれまで一戦のみ。アーセンも今回がMMAデビューとなる。しかし、単なる新人同士の戦いにはならない気配がすでに漂っている。

クロン・グレイシーは物心つく前から父ヒクソンに柔術を教わった。その魅力に自然と引き込まれていったクロンは、7歳の時に柔術の練習を本格的にスタートさせる。

まだ幼い頃、クロンが試合に出るときに、『勝ったらお前の好きなものを一つあげるよ。もし負けたら二つあげるよ』と私は彼に言いました。これは、『負けてもいいんだよ。お父さんはそんなことで怒らないからね』という意思表示でした。私は息子に、勝ちへのプレッシャーを与えたことは一度もありません。

負けから何かを学び取り、また次に向けて練習をすればいい。幼いクロンに、ヒクソンはいつもそう教えてきたという。

しかし、クロンが思春期を迎えた頃、彼は突然「もう柔術をやりたくない」と父に訴えた。スケートボードをやりたいと言うクロンをヒクソンが店に連れて行き、一緒に選んで買ってあげたこともあるそうだ。

でも、クロンはスケートボードをやって二回も骨折したんです。それですっかり嫌になってしまったようで、また柔術の練習を始めるようになりました。その後熱心に練習していくうちに、少しずつ柔術に対する愛情が芽生えてきたようです。

今から3年ほど前、クロンは父に、「今まで、お父さんの知識やテクニック、戦術をいろいろ教えてくれてありがとう。でも、僕の目指すものはもっと上にある。今後は、お父さんの力は借りない。すべて自分で責任を持って、自分で選択して練習を積んでいく」と言った。

それを聞いて、彼のことを心から誇りに思いました。彼は自立してから今まで以上にハードなトレーニングをこなしています。食事管理も徹底していて、常に新しいことを模索し、実践して、前向きな姿を私たち家族に見せてくれています。