信長は最強の「フランチャイズ経営者」だった!〜戦国時代のベンチャーマインド②

コルクCEO・佐渡島庸平 × 作家・木下昌輝 『決戦! 本能寺』出版記念対談
木下昌輝, 佐渡島庸平

佐渡島 そうですね。あとは変えずに御すという方法もありますが、いろいろな会社を見ていても、自分の言いなりになる人間ばかりを集めようとするか、言う事をきかない人間も集めながら言うこと聞かせようと努力するかで、会社の5年後10年後が変わるんです。明らかに違う人間を口説いて連れて来ている社長の会社の方が成長しています。

木下 例えばどなたとかっていますか?

佐渡島 直接存じ上げている訳ではないのですが、やっぱり孫さんはすごい経営者だと思って、尊敬しています。ソフトバンクは、社外取締役に日本電産の永守さんやファーストリテイリングの柳井さんがいますが、自分にない視点の方を積極的に取り入れていますよね。

木下 経営者には戦国好きも多いのですが、その点佐渡島さんはどうですか?

佐渡島 僕はビジョンの描き方に興味をもつタイプなんです。戦国時代って南蛮貿易やキリシタンも入ってきて海外の文化がどっと輸入されるわけですが、信長も秀吉もそこで経済の重要性に気づいて、楽市楽座とかの仕組みをしっかり作っていっているのが興味深いですよね。

信長がなぜ楽市楽座が重要だと思ったのかとか、秀吉が刀狩りをどういう考えでやったのかっていうのを、丁寧に分析したものがあったらぜひ読みたいと思います。

ベンチャー企業にとっての本能寺とは?

木下 新しいものに挑戦する、という意味で、戦国武将に共感するものってありますか?

佐渡島 抵抗勢力に対する苦労という点ではあるかもしれません。基本的にはこういう人たちが反対して、潰そうとして、みたいなのは必ず起きる。それの対処法も結局は結構似ていますから。

木下 そういう意味で歴史小説を参考にすることとかもある?

佐渡島 反対が起きることがわかっていても、そこに入り込んでしまうとつい「今回の俺だけは反対を受けずにいけるんじゃないか」と思うことがあるんです。でも歴史を振り返ると、やっぱりそれはないな、と冷静になるっていうか。これって起きるよなー、と冷静になれるのはいいですね。

木下 経営者は常に5年先10年先を考えて行動しないといけないと思うんです。信長で言えば「天下布武」と言って、天下を取るぞとかなり早い段階から言っていたわけですが、下の人間はなかなかそれが理解できないこともあるじゃないですか。もどかしいな、と思うことはないんですか。

佐渡島 部下に伝えるのをCEOがやった方がいいかという問題ですね。5年後10年後のビジョンを描くのはCEOの役割だけれど、それを伝えて部下をひっぱるのはCOOに任せた方が組織が上手く回ったりすることもあると思います。

小さな組織を一緒にはじめるタイミングってコミュニケーション量が多いからいいんだけど、組織が大きくなっても同じ事を続けているとひとりひとりとのコミュニケーションって減ってしまう。そうすると、最近社長は冷たくなったと感じたり、中には裏切られたと感じる人がいたりすることもあるんです。

本能寺の変も、実はそういう部分があるように思います。ビジネスの場合は、人が離れていっても、横に立ち上がっていくじゃないですか。

リクルート出身者がたくさん外に出て起業するとか。楽天の三木谷さんの後にGREEの田中さんが出てとか。戦国時代なら怖いことですが、ビジネスでならむしろそれはうれしいし、元の企業にとってかっこいいことですよね。