『コウノドリ』産科医が教える「正しい出産場所の選び方」
~”イケてるお産”にダマされてはいけません

鈴ノ木ユウ, 荻田和秀

日本では、妊産婦死亡の原因でいちばん多いのは、「危機的出血」です。これは出産の後に大量出血を起こすというものです。子宮を全摘出して出血が治まるケースもありますが、大量出血によって命を落とす妊婦さんも決して少なくはありません。

これは「直接産科的死亡」と分類されますが、要は「お産によって亡くなる」というものです。一方、「間接産科的死亡」はもともと脳や心臓などに病気があって、それが出産時に悪化して亡くなるというもの。くも膜下出血などの脳内出血などが代表です。日本では半分以上が直接産科的死亡であり、その中でも出血による死亡が断トツに多いのです。

では、その最多の原因でもある「出血による母体死亡」は、どこで発生しているのか。

有床診療所53%、産科病院20%、総合病院20%、自宅7%(日本産婦人科医会 偶発症例調査2010)

53%、実に半数以上は「有床診療所」で起こっています。

ほとんどの有床診療所では、妊婦さんのリスクを評価し、ハイリスク時は高次施設へ送ったりしているのですが、これを見れば、ハイリスクでなくても危険と隣り合わせなのがわかると思います。そのことを認識した上で僕の個人的意見を聞いてください。

イベント化するお産にモノ申す

「理想のお産」を描いておられる方はたくさんいます。快適でストレスなくお産をしたい、妊娠雑誌に書いてあるような「今、流行のイケてるお産」「おしゃれでナチュラルなお産」を、と思うのでしょうね。

でも、一つお伝えしておきます。理想通りにいくお産なんてありません。「こうありたい」「こうあるべき」と思っていると、それこそ理想とは程遠いお産になったときのショックは大きいと思うのです。お産がいつの間にかイベント化していることに対しては、ちょっと釘をさしておきたいと思います(釘はかなり太い五寸釘ですが)。

講談社『コウノドリ』3巻より