プレミア12で見えた侍ジャパンの課題

世界一の栄冠を取り戻すために
スポーツコミュニケーションズ, 佐野慈紀

バッターに与えられた課題

 先発ピッチャーは、他国と比較しても日本がピカイチでした。優勝した韓国相手に2試合連続2ケタ奪三振という圧倒的な力をみせつけた大谷は世界レベルにおいても桁違いの投手だということを知らしめました。ベストナインにも選出されたことからも分かるように、彼は今大会の“No.1ピッチャー”であったことは間違いありません。

 一方、打者には課題が見つかりました。140キロ台後半の直球や横の揺さぶりへの対応力が欠けていたことです。日本の強打者を集めていたのにもかかわらず、言うほど振るわなかったのが、何よりもその証拠ではないでしょうか。

 MLBでは、直球でもボールが動くというのがスタンダードです。しかし日本には、ストレートを動かせるピッチャーはエース級しかいません。今季9勝0敗のリック・バンデンハーク(ソフトバンク)は、その技術を持ち合わせていました。150キロ超の動く直球を主体に打者をことごとく打ち取り、バッターは手も足も出ない状態でした。

 日本人でも、大谷や藤浪晋太郎(阪神)などのパワーピッチングができる投手も多くの勝ち星をあげました。140キロ台中盤のボールは打てるけれど、エース級の速さには対応できていないのが現状です。世界は95マイル(約153キロ)の時代に突入しています。これからは150キロ台前半のボールを打てなければ同等に戦えません。これが今大会で最も顕著に分かった世界との差です。

 2年後のWBCで09年以来遠ざかっている“世界一”の栄冠を取り戻すためには、“日本式の野球”で戦っていてもダメ。韓国を含め他国は、小刻みな継投や積極的に代打を送るという国際大会ならではの戦い方ができていました。世界の舞台で勝つためには、なりふりかまわず攻めていく“国際野球”を日本も実践していく必要があるでしょう。

佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商-近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日-エルマイラ・パイオニアーズ(米独 立)-ロサンジェルス・ドジャース-メキシコシティ(メキシカンリーグ)-エルマイラ・パイオニアーズ-オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6 球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。