干場義雅 第4回
「柴田錬三郎先生と坪内寿夫さんのゴルフ場の話は、豪快すぎて、いまの時代では考えられません」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ お待たせしました。これです。

干場 立派な革張りの写真集ですね。ははあ、印刷ではなく生の印画紙を合本したんですか。うーん、モノクロのいい写真ですね。白と黒のバランスが、素晴らしいですね。

シマジ そうでしょう。ですから裏はありません。

干場 タイトルがいいですね。『人間、柴田錬三郎 撮、立木義浩』。しかも黒革に金文字の箔押しですか。

シマジ わたしはこうして30年以上見ていますが。干場さん、見てください。ちゃんと水洗いをしているから色が変わっていないでしょう。一枚一枚丹精込めてタッチャンが焼いた証拠です。

立木 素人が本職のことを触っちゃダメだよ。むかし中村錦之助さんを撮影したとき、おれが錦之助さんの前で「ズラが」といったら怒られたよ。「素人がズラなんて言うんじゃない。カツラと言いなさい」って。そのとき錦之介さんのカツラがホントにずれていたんだけどさ。

シマジ 写真はモノクロのほうが想像力をかき立てられるんですよ。

立木 また、おれが教えた通りに言うなよ。少しは自分の意見を入れて言ってくれよな。聞かされるおれが恥ずかしい。

シマジ フォトグラフという言葉はギリシャ語で「光」を意味するフォトと、「描かれたもの」という意味のグラフからきているそうです。タッチャンの写真を見ているとまさしく、光を巧みに使って描いている、と感じます。

干場 格好いいですね。おや、この写真には柴田先生を撮っている立木先生の陰が写っていますね。

立木 共演と言ってくださいよ。

干場 まるでヒッチコックみたいじゃないですか。

シマジ 被写体を俯瞰で押さえておいて、ついでに自分も入ってしまうなんてニクイですね。

干場 撮影場所はどこなんですか?

立木 いろんなところ。