これぞリアル『下町ロケット』だ!
大企業のイジメに負けなかった「町工場の物語」

世界のグーグル相手に戦った男もいる
週刊現代 プロフィール

「ツテもなにもないから、当然、守衛に止められる。いくつもある入り口を全部回ってもダメ。でも諦めずに、7回くらい通い続けた。そうしたら、根負けしたのか、とうとう守衛が入れてくれたんです。

ただ中に入っても、まだ問題はあった。何とか資材課の偉い人を見つけ出したんだけど、やっぱり怒り出すわけですよ。『何なんだお前は! なぜここにいるんだ!』と。

でも、うちの現状を訴えたら、コーヒーをごちそうしてくれて、きちんと話を聞いてくれた。俺は製品を見せて、どれだけの技術力があるかを示した。そうしたら、『じゃあ直接仕事をしましょう』と言ってくれたんだ」

ドラマでは吉川晃司演じる帝国重工・宇宙航空部部長の財前道生が、佃製作所を陰に陽に支えてくれたが、町工場の技術力を認めてくれる大企業の社員は、確かに存在するのだ。

グーグルに立ち向かった男

たとえ高い技術力を持っていたとしても、大企業と正面から戦い、勝利を収めるのは難しい。だが中には、それをやってのけた稀有な例もある。

東京都千代田区にある、社員8名のIT企業・イーパーセル。同社は、世界売上高約8兆円の「超」巨大企業・グーグルから、開発した技術を守ることに成功した。

'04年から社長を務める、北野譲治氏が語る。

「'96年の設立以来、我が社が獲得してきた特許は、これまでに13件。中には、『自分あてにデータが届いたことを画面上で知らせる仕組み』など、いまでは誰もが当たり前に使っているサービスもあります。

しかし、これは日本企業の体質だと思うんですが、欧米と違い『新しいもの』はなかなか受け入れてくれない。大手企業はやはり大手システム会社と結びついていて、我々が入り込む隙間がない。いくら素晴らしい技術だと説明しても、信用してもらえなかった」

この状況に甘んじれば、開発した技術が陽の目を見ないまま、イーパーセルは潰される。悩んだ末、北野氏が考えだしたのが、グーグルに対する特許侵害訴訟だった。