安倍: 最後に、将来どんな活動にしていきたいかについて聞かせてください。
黒沢: 最終的には貧困家庭向けに、食べる・住む・学ぶことが無料もしくは低料金で提供できる学校を作りたいですね。彼らのコミュニティにするためにはジョブチェンジが必要なので、1~2年くらいそこで働いて勉強して、地元の地場産業とつながっていくような形でやっていきたいと考えています。
あと5、6年もすれば大学や専門学校はどんどん潰れていきますから、その空きを使いたいとも思っています。今は政府も「地方創世」なんて言っていますので、そこも上手く活用しながら学校事業をやりたいですね。今学校現場に行っているのは、そのための布石でもあるんです。
将来的に人を育てて職を作り、最終的に僕は彼らには、税金を使われる立場ではなく、税金を払う立場になってほしいと思っています。
そうなるための仕掛けとして、労働と教育を一体的に考えています。そのためには学校作りもあるし、就職支援もあるし、その他もろもろ選択肢はありますから、複合的にやっていきたいですね。
安倍: 貧困家庭の子供には発達障害の子供も多いと思うんですが、私はそういう発達障害の子供もきちんと社会に適応できるような教育も今の教育現場には必要なんじゃないかと思うんです。
黒沢: そういう子供がたくさんいることは事実ですね。彼らはバイトをしていても、長続きしなかったり急にキレちゃったりする。でも今は良い薬も出てきていますし、あとは環境設定を上手く整えていけば、彼らにも社会生活を営むことができるはずなんです。
安倍: 将来的に活動の輪を広げていくうえで、一緒にやっていく仲間はどういうふうに作っているんですか?
黒沢: 基本的には僕自身が興味関心を持っていない場所に行くようにしていますね。興味を持っている場所にだけ行くようにしていると、偏った人間ばかりになってしまうんですよ。
まずは、いろいろな人に僕たちの活動を知ってもらいたいです。僕たちの活動の認知度を広げていけば、「ああ、こんな生き方をしている人がいるんだ」と思ってもらえて、生きづらさを抱える子たちのロールモデルになれる可能性があるんですね。 そのために、今は、定時制高校をメインとした学校現場に、「リアル」と「希望」を届けているわけです。
多分僕と同じような事情を抱えた人は世の中にたくさんいるんですよ。どこかにいる。ただ表に出て来ないだけなんですね。貧困問題も表に出て来ないだけでたくさんある。そういう環境にいる子供たちを一人ひとり拾い上げていきたいんです。
了。
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