見えない日本の「貧困家庭」~子どもたちへの「負の連鎖」をどう断ち切るか

安倍昭恵×黒沢一樹(第3回)

死にたくても死ねなかった

安倍: これまで何度も死にたいと思われたのに、今みたいにポジティブ志向に変わられたきっかけは何ですか?

黒沢: 団地から飛び降りて自殺に失敗したのが最初のきっかけなんですけど、そのあと19歳のとき、腎臓病になりまして、そこで「1週間後に死ぬ」と言われて親が呼ばれたんですけど、2週間後に退院しちゃったんです。

その後交通事故にも遭っているんです。新車を買って納車3時間後に、もう乗りたくてしょうがなくて酔っ払ってコンビニに行ったら、壁に激突しちゃったんですね。それが、シートベルトをしていなかったら逆に助かったんですよ。クルマの前部が潰れたときにフロントガラスから飛び出しちゃったんで助かったんです。

「ああ、また死ななかったな」とか思って(笑)。その事故のときに、さすがにもう「死ぬことを考えずに生きていくしかないんだな」「いろいろあっても何とかやっていけってことかな」と、諦めみたいなものができたんですね。

安倍: 神様も「ここまでしないとわかんないのか、こいつは」って呆れたでしょうね(笑)。

黒沢: その事故のときはさすがに怖くなりました。酔っ払って血だらけになって、クルマはペシャンコ。どう考えても死んでるのが当たり前の状況だったんで、怖くなってそのまま歩いて家に帰って寝ちゃったんです(笑)。次の朝起きてその現場に行ったら「死体がない、死体がない!」って大騒ぎになっていました。

安倍: 映画やドラマにしたら、すごく嘘くさい話にしか思えませんよね(笑)。

黒沢: いやでも、これ全然話を盛ってないんですよ(笑)。

虐待の連鎖を断ち切るために

安倍: 血のつながったお父さんじゃないにしても、虐待は連鎖するっていわれているじゃないですか。虐待を受けて育った子供たちは、親を見て「絶対こんな人間にはなりたくない」と思うけれども、自分に子供ができると、本当に幸せな家庭を知らないからなぜか自分も虐待をくり返してしまい悩んでしまうということを聞いたことがあります。そういう恐怖はなかったんですか?

黒沢: いや、今でもそれはありますよ。カーッと頭に血が上ることがあります。ただ、ありがたいことに、やっぱり要所要所で人に助けられていることに気づけたので、そういうときは人に任せて、そこから離れるようにしています。

「今はダメだ、イライラしているから嫁に任せよう」と1人で抱え込まない。だから、僕は妻のことは「カミさん」じゃなくて「神さん」だと思っています。こんな僕に15年くらい付き合ってくれているわけですから……いや、ただのノロケになっちゃいましたね(笑)。