安倍: 中学卒業後は就職されたんですか?
黒沢: 日立造船というところで、背中に絵が描いてあるような大人たちに混ざって塗装工をしていました。
3番目の父がそこで働くようになったから僕もそこで働くことになったんですが、父が僕の給料まで前借りしちゃうんです。僕が知らない間に飲み屋のツケが僕の名前でどんどんたまっていくんです(笑)。それで「このままじゃまずいな、何とかしなければ」と思って、知り合いのツテで転職したんです。
そのときに板前の道に引っ張ってくれた人がいたんです。当時は『料理の鉄人』という番組がすごく流行っていて、僕は生まれて初めて実現できるかもしれない夢というものを持ったんです。「僕は料理の鉄人になるんだ」と。
当時働いていた店が、天皇陛下の料理を作っていたような立派なところで、調理師が100人くらいいました。九州ではけっこう有名な大きい店で、3年頑張れば中村孝明さんの店に研修に行けるという制度があって、僕は推薦候補までいったんです。
でも、「研修に行こう」というタイミングで僕は右半身麻痺になっちゃったんです。さすがに自暴自棄になりましたね。
それからなぜかインドネシアに行きました(笑)。板前の道に引き込んでくれた人に誘われたんです。ちょうどスハルト政権が終わってメガワティ大統領に代わる時期で、ここで何かやったら面白いだろうと、ビジネスを始めたんです。
人材ビジネスを始めて上手くいっていたんですけど、知らない間に僕に1000万円の生命保険が掛けられていて、「このままじゃ殺されるな」と思って日本に帰ってきました。
安倍: その頃には下の子供たちも自分たちで生活できるようになっていたんですか?
黒沢: そうなんです。今は4番目の父親がいるんですが、事実婚で籍は入れていないんですね。
安倍: 3番目のお父さんはどうしたんですか?
黒沢: 警察に捕まりました。最終的には、母が首を絞められて家の周りに灯油を撒いて火を点けられちゃったんですよ。それでさすがに警察に逮捕されました。
母は離婚をして呪縛から抜け出すことができました。その頃にはもう4番目の父がいたんですよ。3番目の父の暴力から母を守ってくれる人ができて、僕は安心してインドネシアに行きました。それが17歳くらいのことです。
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