欧米諸国が歴史的に犯した「二つの誤り」〜だからテロリストは今日も生まれる

「普遍的価値」という名の横暴と欺瞞
内山 節 プロフィール

欧米社会は「普遍的価値」を問い直せるか

もちろん今回のようなテロがいいわけではない。だがテロを非難するだけでは何も解決しないのである。

テロリストを生みだしていく温床をつくりだしたのは欧米であり、そのことを解決しようという姿勢がないかぎり、欧米社会とその同調国に対する攻撃はさまざまなかたちで繰り返されることになるだろう。

だがいまの欧米社会にこの問題を解決する能力があるとは思えない。欧米的価値観に普遍的価値があると思っているかぎり、そこからくり出されてくる政策はイスラム社会の人びとにとっては傲慢なものでしかないにもかかわらず、「普遍的価値」の問い直しはこの価値によってつくられている欧米社会を崩壊させるからである。にもかかわらずそこに踏み込む能力は、いまの欧米社会にはないだろう。

世界にはさまざまな文化や文明、価値観があってよい。問題解決の出発点はそのことを率直に認めることにある。

そして、もしもそのことを認めるのなら、世界を自分たちの価値観で分割支配しようとした植民地政策に対する反省も、自分たちの都合で呼び寄せ、自分たちの文化に同化することを迫った移民政策を反省することも必要だろう。自分たちの都合でイスラエルをつくった政策も、である。

その上でどんな世界をつくるのかを提示しないかぎり、テロの温床は再生産されつづけることになるだろう。

フランスの外国人労働者の二世、三世が貧しさから抜け出せない、そればかりか経済環境の悪化のなかでますます追い詰められていくから、その不満がテロリストを生んでいくという解釈では十分なものではない。

追い詰められた現実と、欧米的価値観、未だに精算できない植民地時代の後遺症、イスラエル・パレスチナ問題などがひとつながりのものだという感覚が、それらからの「解放」をめざす英雄主義を生みだしているのである。その英雄主義がテロリストを生産していく。

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