ごく普通の若者がなぜ「レイシスト」に豹変するのか?

在特会会員の素顔と本音
安田 浩一 プロフィール
〔PHOTO〕gettyimages

気がつけば周囲は敵ばかりだ。学校もメディアも行政も。そのうえ最大の敵である在日が、今日も大きな顔して世の中を闊歩している。

彼ら彼女らは熱っぽく訴える。在日は恵まれすぎている。権利ばかり主張する。普通の外国人になればいい。もっと日本に感謝しろ。

 

私には在特会の会員が口にする「在日」なる文言が、無機質な記号のようにも感じられた。在日と一括りにされる人々の顔も、表情も、生活も、歴史も、風景も、そこからはディテールがまるで浮かび上がってこない。

日本の危機をあらわす、あるいはすべての矛盾と問題をひもとくブラックボックスのような存在として、都合よく使われているような気がした。

それでも、私は彼らを単純に「人種差別主義者」「排外主義者」だと毛嫌いし、一方的に批判することだけは避けたいと思った。そんなスタンスで取材などできない。

あるいは不満や不安を抱え、悶々としながら長い時間を過ごしてきた者たちが、どこかで私自身と重なったからなのかもしれない。

「こちら」と「あちら」という切り分けは、私にはできない。「あちら」側にも、それなりのリアリティがあるのではないかと感じることも少なくない。

なによりも在特会が社会に一定程度の影響力を与えている点だけはしっかり認めなければならない。彼らをぐいぐいと引き寄せる、強烈な磁力の存在は無視できないのである。

つづく

(『ネットと愛国』第2章より)