残念ながら、もう手遅れです。認知症「1000万人」社会がくる!

人類史上かつてない異常事態へ
週刊現代 プロフィール

たとえ家族が説得して、運転免許を返納したとしても、そもそも認知症だと「自分はもう免許を持っていない」ということ自体を忘れてしまう。

かくして、街には道路を蛇行し、逆走し、暴走する「認知症ドライバー」が解き放たれる。65歳以上の免許保有者数は、'13年末時点で約1534万人だが、2025年には約2824万人と、ほぼ倍増する見通しだ。免許返納の義務付けなどが実施されない限りは、事故の数も同じく倍になる。

介護士が「徴兵」される日

10年後の日本では、すでに国民のおよそ3人に1人が65歳以上である。

ファミリーレストランでは認知症の客を高齢者店員がもてなし、コンビニのレジにも高齢者と外国人ばかり。電車の座席は半分が優先席に変わり、スーパーやデパートでは迷子放送ではなく「認知症放送」が日常茶飯事になる。

認知症高齢者の資産を狙って、詐欺だけでなく誘拐事件も多発するはずだ。昨年1年間でも、認知症が原因で行方不明になったとみられる人の数は1万783人にのぼっている。

また今月3日には、宮城県仙台市で78歳の男性がヘルパーの60代女性を果物ナイフで切りつけ、殺人未遂の疑いで逮捕された。動機は「食事にラップをかけられたから」だった。都内の有料老人ホームに勤めるヘルパーは、あまり語られることのない介護現場のトラブルについてこう話す。

「実は、最も大変なのが認知症になりはじめた軽症のときです。男性の入所者の場合、体重も腕力もあるので男性のヘルパーをつけるのですが、『女性のヘルパーがいい』と嫌がって暴れる方が少なくありません。

周囲の人を殴ったり、認知症が進んだ人を『このクズ』とか『バカ野郎が』などと罵る人や、中には他の入所者の持ち物を盗んでしまう人もいて、ある程度は仕方がないことだと分かっていても閉口します。

一方で、最近は入所者のご家族にも『自分らしい暮らしをさせてやってください』とか『囲碁が好きなので、なるべく相手をしてあげて』といった注文をつける方が増えているように感じます。

でも実際には、『介護サービス』とはいっても人間同士ですから、なかなか心を開いてくれない入所者もいる。介護士の側も、熟練度はバラバラですし、皆が皆、聖人君子ではありません。トラブルは増える一方です」

こうした苦労に加えて、介護の現場は低賃金と人手不足にも常に悩まされている。現在、福祉施設職員の平均月収は手取りで21万円前後と、一般平均の32万円を10万円以上も下回るという。神奈川県・汐田総合病院の宮澤由美医師が話す。

「私が知っている介護職員には、『実家暮らしだから何とかなっているけれど、今の収入では結婚と子育てはムリ』という人が多い。仕事の内容に見合わない低賃金なのです。看護師や理学療法士の資格をとって転職するために、勉強している人の話も耳にします。

『本来なら、家族がやるべき仕事だ』とか『医師や看護師のような専門技術を持っていない』といった、介護職に対する世間の偏見が根強いことも問題です。人手不足は深刻で、政府は2025年に253万人の介護職員が必要になると推計していますが、このままだとおよそ38万人も不足するといわれています」