残念ながら、もう手遅れです。認知症「1000万人」社会がくる!

人類史上かつてない異常事態へ
週刊現代 プロフィール

暴走する「認知症ドライバー」

離れて暮らす子供が仕事に忙しいと、発覚が遅れてしまう。また、認知症になりかけている、いわゆる「まだらボケ」状態の患者には、自分が認知症になったことを受け入れられない人もいる。本人が電話口では「大丈夫だから」と言っていても、実際に会ってみるとボケていた、というケースは珍しくない。

東京都内に住む佐藤徹郎さん(58歳・仮名)は、半年前から関西の実家との往復生活を送っている。数年前に佐藤さんの母親が脳卒中で倒れて以来、父親がその介護にあたってきたが、今度は父親が認知症を発症したからだ。

佐藤さんは昨年末に帰省した際、父親の様子がおかしいことに気付いた。

「父は当初『オレはボケてない』『大丈夫だ』と言っていました。でも、家事を終えて東京に戻った私に、何度も電話してくるんです。『財布はどこだっけ』とか、『今日はどこに行くんだっけ』と、他愛もない内容が多いんですが……。かかってくるたび、心配になりますね。

今は2週間に1回実家へ行き、洗濯や掃除を済ませ、作りおきの料理を作って帰る生活ですが、私自身も体調が万全というわけではないので、率直に言って辛いです。かといって、自分と妻の生活を考えると、仕事を辞めるわけにもいきません。

施設に入ってもらうことはもちろん考えています。でも、母の医療費もかかりますし、何より父自身にまだ『自分は認知症だ』という自覚が薄いんです。しばらくは、この暮らしを続けるしかないと思っています」

ましてや、子供がいない夫婦や、ひとり暮らしの高齢者が認知症になった場合には、自治体の係員やヘルパーなどが自宅を訪れないかぎり、誰も気付かないまま放置されてしまう。街を徘徊しても探す人はおらず、万引きや傷害といった事件、自動車事故などを起こして、ようやく認知症と分かる——そんな事態がすでに起こりはじめている。

10月28日、宮崎市内で73歳の認知症患者の男性が車を暴走させ、7人が死傷した事故は記憶に新しい。この男性は妻と2人で暮らしていたが、妻も「夫の運転が危険だとは思っていなかった」というから驚かされる。埼玉県で働く、あるケアマネジャーが話す。

「宮崎の事故は他人事ではないので、怖くなりました。私が担当している認知症の方にも、車の運転を続けている人が少なくありませんから。

お世話をしている認知症の方が、スーパーマーケットの駐車場で隣の車にぶつけて、連絡をもらうことはよくあります。路上でも、決してスピードを出しているわけではなくても信号無視をしてしまったり、歩行者に気を取られて電柱にぶつかるなど、大事故につながりかねないトラブルがしょっちゅう起きています。

でも、ご家族が免許を取り上げようとすると、怒る方が多いんです。そういう方は『運転には自信がある』と必ずおっしゃる。放置していたら危ないからと、自宅から離れた駐車場に車を置くようにしたご家族がいましたが、本人にばれて大ゲンカになっていました」