残念ながら、もう手遅れです。認知症「1000万人」社会がくる!

人類史上かつてない異常事態へ
週刊現代 プロフィール

一方で厚労官僚は、『将来のことを考えるのは政治家の仕事』『われわれは、目先の課題をこなすだけ』と、責任を押し付け合っています。どちらも内心では、『もう、どうすることもできない』と気が付いているのです。

厚労省は今年初めに『新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)』を発表しましたが、そこでも『では、誰がいつ何をやるのか』ということは明確になっていない」

認知症の激増が、数年以内に社会問題になることは明らかだ。しかし、これに対応するための政府機関はいまだになく、認知症のためのセーフティネット作りも、地方自治体の自主努力に頼っているのが現状である。

一方で政府は、今年6月に「2025年までに、全国の病院の病床数を、最大で今よりも約20万床減らす」という方針を掲げた。ただでさえ介護施設の数が足りない中で、「認知症が重い高齢者は出て行ってもらう」という施設も増えてきている。

「これからは、認知症老人の面倒は、家族が自宅で見るのが当たり前。カネがないなら、なおさらだ」——政府は、暗にそう言いたいのである。

「認認介護」が急増する

世の中全体が、認知症老人の面倒を見きれなくなったとき、何が起こるのか。

間違いなく急増するのが、夫婦の片方が認知症になった後、介護にあたっていた夫や妻まで認知症を発症し、しかも誰もそのことに気付かないという「隠れ認認介護」世帯である。神奈川県・川崎幸クリニックの杉山孝博院長が言う。

「すでに『認認介護』の問題は顕在化しつつあります。80歳前後の認知症発症率はおよそ20%なので、夫婦ともに認知症になる割合は単純計算で8%。現在でも、少なくとも11組に1組の夫婦が、ともに認知症ということになります。

夫婦で認知症の進み具合が大きく違う場合は、訪問看護師が服薬管理などのサポートをすれば、症状の軽いほうが介護することはできます。

しかし、片方が食事をとれない状態だったり、痰の吸引などの医療行為が必要な場合、または暴力をふるうといった症状があるときは、介護が成り立たなくなってしまうことも少なくありません」