ドラッグ密売現場に遭遇!?さらば、ブルース・リー!

~丸山ゴンザレスの「クレイジージャーニー」裏日記②
丸山 ゴンザレス プロフィール

別れるに際して、ブルース・リーから「ありのままを放送してくれ」と言われ、握手をかわした。それほど長い時間一緒にいたわけではないうえ、取材者と取材対象者の関係でありながら、不思議な魅力をまとう彼に私は惹きつけられていた。

マンホール内には無造作に現金が置かれている。ある意味では秩序が保たれているということか

ブルース・リーを狙う者たち

テレビの放送は、ここで終わっている。だが、取材自体はこのあとも続いていた。というのも、わざわざ東欧まで来たのだからマンホールだけではもったいないと考えていたからだ。根っからの貧乏性なのだ。

ルーマニアの街で購入した「ケバブセット」

意外な展開を見せたのは、取材を終えて撤収しようとしていたときのことだ。ひときわ大柄な男が近づいてきた。

「誰に断ってカメラを回しているんだ!」

繰り返すが私はルーマニア語がわからない。それでもそんな風に言ったのがわかる。それほど露骨に敵意をぶつけてきたのだ。

すかさず通訳が事情を説明しようと割って入ってこようとすると、ほかのマンホールの住人たちが何事か言ってくれた。すると男は、露骨に「渋々」といった雰囲気を出し、立ち去っていった。ご丁寧にツバを吐き散らす感じで態度も悪い。

「どうやら、マンホールの幹部のようです」

通訳が教えてくれた。男の態度が気になったので少し聞き込みをしてみると、状況がわかった。大柄な男は難くせをつけて我々から金を巻き上げようとしたのだが、「ブルース・リーが客人と認めた」と他のやつから言われて引き下がったのだそうだ。

「それにしても態度悪かったな」

「あの男、ブルース・リーの後釜を狙っているんでしょうね。もしかしたら、ボスが一番気をつけているのはあの男かもしれません」

通訳とそんなやり取りをしたのだが、たしかにブルース・リーは自分の部屋を最奥部のさらに奥につくり、誰も立ち入れないようにしていた。ましてや大柄男なら簡単には辿りつけないだろう。本当に自分を暗殺しようとする者から身を守ろうとしているのかもしれないなと、その時は思っていた。