ドラッグ密売現場に遭遇!?さらば、ブルース・リー!

~丸山ゴンザレスの「クレイジージャーニー」裏日記②
丸山 ゴンザレス プロフィール

というのも、ルーマニアは東西のヨーロッパが交わる場所に位置し、その地理的な条件から、ロシアはもちろん、イタリアのマフィアやアウトローたちが流入して裏の商売をしているという噂を聞いていたからだ。

どんな流通経路でドラッグが広がっているのか。それはユーザーが多数いるマンホールで聞くのが一番わかりやすいはずだ。

本音を隠すブルース・リー

「マンホールの中では多くの人がドラッグをやっています。そのことについてはどう思いますか?」

我ながら大胆な質問だと思う。通訳の顔色が変わったのもわかった。それでも私は目で「訳して」と合図をする。

ブルース・リー氏

「いいことじゃないと思う。だけど、ここで暮らすには必要なものだ」

意外にも素直に答えてくれたが、私が欲しいのはそんな言葉ではない。ドラッグがどう扱われているのか、いくらで取引されているのかを聞きたいのだ。

こちらの願望を無視してブルース・リーは続ける。

「金があるやつは自分でドラッグを買うだろう。ないやつはシンナーをやる。あれは安いからな。俺も昔はドラッグをやっていたが、今はやらない。でも彼らにそれを強制することはできない」

ブルース・リーが若者たちを心配していることはわかった。そして、ドラッグの取引が必要悪だとわかって続けていることも。

 

もしかしたら、さきほど目にした金はドラッグを売って得た金かもしれないし、別の手段で手に入れたのかもしれない。その金で悪そうな連中とドラッグの取引をしていたのかもしれない。

思わず「どこから、いくらで仕入れているんですか?」と質問しかけたが、結局は飲み込んでしまった。私にとって取材とは、内部に分け入って、人々の生活実態や組織の構造を知ることであり、生の声を拾い上げることである。彼らの更生だとか援助とは程遠い。

だからこそ踏み込んで良い領域というのが決まっているのだと思っている。

私はこれ以上の深追いをするのをやめた。