干場義雅 第2回
「編集の仕事をやりたいと思っていたときに、ある雑誌の編集長と知り合い、『ぼくを編集者にしてください!』と土下座して頼みこみました」

島地 勝彦 プロフィール

干場 ビームスのアルバイトにしても、読者モデルにしても、やっぱりペーペーもペーペーでした。それで、あるとき、春夏秋冬、毎日同じことをするアルバイト生活に少し疑問を持つようになったんです。バイトはいつまでたってもバイトですし、普通に大学を卒業しなければ社員にはなれませんし・・・。

朝、お店に来て、掃除をして、店頭に立って、洋服を売って、先輩たちと遊びに行って・・・。季節が変わっても、毎日がその繰り返し。モデルのバイトでも、「コレ着て」「洋服を畳んで」「ハイ、笑って」「ポーズはこんな風に」・・・。

このままでいいんだろうか? という不安な気持ちが募っていきました。

シマジ いまは楽しくても将来の展望がない、と焦り始めたわけですね。

干場 当時はいまとちがって血気盛んで生意気だったんでしょうね。「自分にはセンスがあるはずだ」「なにかもっと他に出来ることがあるんじゃないか」と思いながら読者モデルやバイトの仕事を続けていたんです。

で、あろうことか、身長が177cmしかないのに、モデル事務所にも応募しまして、なんとか入れてもらったんです。大きな勘違い!ってやつです。その事務所には、コンポジ用の写真だけ撮影してもらい、でも結局、「なんだか違う」と思って、無断で行かなくなってしまいました(当時の事務所の方が見ていたらスイマセン! どうかお許し下さい!)。

シマジ アッハッハ、若かったんだね。でも、たしかにセンスっていうのは生まれつきの才能で、どこどこ大学卒なんて関係ないハナシです。

干場 そんなあるとき、『ポパイ』の撮影で九十九里浜へ行って帰ってくると、「おい少年、撮影終わったら、飲みに行くぞ!」と声をかけてくれたオジサンがいたんですね。スタッフみんなを誘って、そのオジサンがぜんぶご馳走してくれたんです。

次の撮影のときにも、またそのオジサンがスタジオにいたんですが、特になんにもしていないんですよ。ただみんなにちょろっと命令だけして、なにかあるとみんなそのオジサンのところに行って相談しているんですね。

この人は一体何者なんだろう? スタイリストでもないし、カメラマンでもないし、ヘアメイクでもない・・・。不思議に思って観察していたら、そのオジサンこそがページ担当の編集者だったんです。

そのときはじめて編集者という存在を知ったんですが、お金は持っているし、あきらかに高そうな良い服を着ているし、JMウェストンのローファーはいてるし、メシはご馳走してくれるし、現場の全員に命令しているし・・・。格好いい仕事があるんだなあと思いました。自分が編集者になれたなら、めちゃめちゃ面白いだろうなと、そのとき直感しましたね。