
あの池井戸潤の原作で、阿部寛が主演。期待は大きかったけれど、それを上回る面白さだ。社会人なら誰もが挫折を味わう。それでも、諦められない夢がある。「大人のドラマ」から目が離せない。
阿部寛が熱く語る
「佃のような中小企業の経営者は、これまでにまったく演じたことがないタイプですね。ただ、僕は父も兄もエンジニアでした。僕自身、大学は電気工学科だったのですが、子供の頃は、漠然とした宇宙への憧れがあった。だから佃には共感するところもあります」
TBS系ドラマ『下町ロケット』で主人公・佃航平を演じる阿部寛はそう語る。
「僕の役は、元ロケットエンジンの開発者で、現在は家業を継ぎ、下町の中小企業を経営する男。経営上の苦難や社員との軋轢に葛藤しながら、若い頃の宇宙への夢を捨てられない主人公です。
経営者なら、もちろん現実も見なければいけません。ですが、僕個人としては、夢は捨てたら終わりだと思っています。夢も、そして技術も、失ったものはもう帰ってこないのですから」
『下町ロケット』の快進撃が止まらない。10月18日放送の初回が16.1%の高視聴率で、第2話では17.8%を叩きだした。'13年夏放送の『半沢直樹』の人気を再現しそうな勢いだ。
阿部をはじめとした人気俳優の起用。原作はヒットメーカー・池井戸潤の直木賞受賞作。そして、『半沢直樹』と同じ制作陣。放送前からヒットの予感をさせたが、『下町ロケット』が見る者に感動を与えているのは、阿部がいう「夢を諦めない人々」の人間ドラマを、説得力を持って描いているからだ。
それを象徴するのが、11月1日に放送された3話の名シーンだ。佃航平は力強くこう熱弁した。
「カネの問題じゃない。これはエンジンメーカーとしての、夢とプライドの問題なんだ!」