本日上場!日本郵政グループ3社の企業価値を徹底分析する

田中 博文 プロフィール

過去の民営化案件はどうだったか?

1987年2月のNTT民営化以降の案件の規模感を調べてみました(表⑥)。

表⑥

やはりNTTの時価総額が19兆円近くあり、ファイナンス額も2兆3750億円とずば抜けています。NTT株は売出価格119万円が、ピークには318万円まで上昇しました。そういった意味ではNTT民営化は個人投資家層の拡大に貢献し、個人に株式投資のブームが拡がったと認識しています。

それ以降、90年代にはJR3社とJTが民営化されましたが、時価総額は3兆円未満でした。そして今回はJR東海以降、18年振りの民営化案件になるわけですが、3社合計の時価総額14兆円、ファイナンス額1兆4000億円はNTTに次ぐ規模です。

センチメント(市場心理)、モメンタム(勢い)を見ておくためにも、当時の日経平均も調べてみました。不思議なことに、1997年7月のタイバーツ暴落を発端とするアジア通貨危機が始まった10月のJR東海以外は全て日経平均が2万円前後です。JR東海も上場申請時期の5月~7月にかけてはまだ日経平均は2万円前後でした。

偶然の一致なのか、民営化の目安が日経平均2万円なのかわかりませんが、興味深いデータでした。

いずれにしろ、日本郵政3社の民営化の規模、タイミングそのものは、それほど過去事例を逸脱したものではないことがわかります。おそらくマーケットで順調に消化されるものと思われます。

16年3月期の日本郵政の連結純利益は前期比23%減の3700億円、ゆうちょ銀行は13%減の3200億円になる見通しであり、3%の増益を見込むかんぽ生命も、経常利益は3割減の予想です。

今回新規上場なのでかなりコンサバに業績予想を見積もりがちなのですが、収益の柱としている国債運用も金利低下により減少傾向です。

将来的には日本郵政はゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式保有比率を50%未満にすることになっており、そうすることで、この金融2社は新規事業を国への届け出だけで行うことが出来るようになるため(現在は許可制)、新たなビジネスを行うことが出来るのですが、何か具体的なものが見えているのかどうかまだ見通しがありません。

また、日本郵政は金融2社が連結を外れた後も日本郵便を抱えて事業を行っていきますが、現状物流事業の収益性が乏しい中、ユニバーサルサービスを掲げている以上、不採算店舗の撤退障壁もあり、ドラスティックなリストラも行いずらい状況です。

海外物流会社の買収なども行ってはいるようですが、買収後のPMIも含めてまだまだ道のりは険しそうです。

ここまで3回にわたって書いてきた課題山積の日本郵政ですが、先ずは順調な船出になることを願ってやみません。