本日上場!日本郵政グループ3社の企業価値を徹底分析する

田中 博文 プロフィール

日本郵政の企業価値は正しく反映されていない?

日本郵政自体は持ち株会社であるため、性質の異なる事業のフェアバリューを加算するサム・オブ・ザ・パーツ(SOTP)法があり、計算上は傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵便の合算の企業価値評価となります。

但し、本件に限って言えば、1兆円近くの関連当事者(グループ内取引)があり、子会社3社の企業価値が正しく日本郵政に反映されているか、かなり疑問のつくところです。

現にゆうちょ銀行の時価総額が6兆5250億円、かんぽ生命の時価総額が1兆3200億円で、今回売り出し分の金融2社の時価総額7434億円を差し引いた金額は7兆1016億円となりますが、実際の日本郵政の時価総額は6兆3000億円となり、金額が整合しません。

仮に日本郵便の時価総額がゼロだとしても、単純合計との差額である8000億円はどこに行ってしまったのでしょうか?

日本郵政は従来より決算を開示しており、IPOディスカウントはないとの認識です。この8000億円の差をどう解釈するのか?

コングロマリットディスカウントという言葉があります。

さまざまな事業を手掛けるコングロマリット(複合企業)の時価総額が、個々の事業の価値を合算した額に比べ割安になることで、好調な事業部門があっても、会社全体の決算では、他の事業部門の業績に埋もれてしまい、好調な事業の評価が十分に株価に反映されないことを言います。

例えば、ゆうちょ銀行、かんぽ生命で稼いだお金をその事業に再投下せずに、利益率や投資効率が低い日本郵便事業に投下するケースが多くなると、企業全体としては、ゆうちょ銀行、かんぽ生命を個々に運営するよりも価値が下がってしまう結果となります。

私は以前から、少数株主利益の逸失と親会社との利益相反の観点から、親子上場は望ましくないとの立場を取ってきました。それでも親子上場を行う理由付けがあるとすれば、それは子会社の上場に伴い、子会社の適正なマーケット評価と独自の資金調達を行うことによるコングロマリットディスカウントの解消でした。

しかしながら今回、既に最初からコングロマリットディスカウントを抱えて上場するとはどういうことなのか。金融2社のバリュエーションを勘案した時、日本郵政の企業価値が正しく反映されているとは思えず、理解に苦しみます。

政策的に株価の発射台を低くして、何とかこの膨大な売出を消化しようという意図が透けて見えます。