ビジネスパーソン必読!佐々木常夫が説く「手紙」の効用

あなたの「人間力」を伝える最強の武器になる
佐々木 常夫

手紙というものは、そんなに頻繁に出すよりも、節目、節目に出すと効果的です。入学、卒業、入社、誕生日、結婚、昇進……といった人生のイベントの時期に手紙を贈る「習慣づけ」が大事です。

私の家では、そういう節目の時、皆で食事会をするのですが、食事が出てくる前の「スピーチタイム」が恒例になっています。主役の子どもたちに「5分で今後の抱負を君なりの考え方で述べなさい」と水を向けると、最初のうちは「えー、しゃべるの~!?」などと言いながら一生懸命に話しました。

それが、イベントごとに必ずスピーチタイムがあることが分かると、彼らはあらかじめ考えて用意するようになりました。スピーチの原稿を用意することは、手紙を書くことと似て、「考える」練習として非常にプラスになります。

仕事上の関係ではなく、人間同士の関係で

私の著書『そうか、君は課長になったのか。』は、架空の自分の部下に宛てた手紙を一冊にまとめたものですが、実際に部下に手紙を書いたことも何度もあります。書いたのは「手紙をもらったから」です。

悩みを手紙で相談されたら、それは無視できないでしょう。上司(それもかつての)に手紙を書くなんて余程のことです。私の場合、その余程のことが、他の方よりかなり多いのですが……。

相談相手に私を選んだのは、私は課長になったときから、年に2回、約2時間かけて部下と話をする時間を設けたことが影響していると思います。面談の最初のテーマは、個人的なことを聞きます。家族のこと、結婚のこと、普通、会社の人には話さないタブーとされているテーマですが、私はあえて聞きました。

私は妻がうつ病、長男が自閉症で家庭が非常に大変な時期があり、そんなとき、部署の仲間に困っていることを話したら、皆、協力してくれて大変助かりました。そういう経験があるので、私は部下の人たちに悩みがあれば、できることはしたいと思っているのです。

私が興味本位で聞くのではないこと、情報が決して漏れないこと、それらが分かると信頼感を得られて、いろいろと相談してくれるようになりました。

本当は多くの人が、家族や友人には話せない悩みをもっていて、第三者的存在に聞いてもらいたいことが結構あるものなのです。私のことを「仕事上の関係だけでなく、人間同士の関係で付き合う人」と確信してくれた人が多いから、会社を辞めて5年近くになりますが、今でもお付き合いをしている人がたくさんいます。

つい先日も、私が50代の時に新入社員で入ってきた、30歳くらい年の差がある女の子が、離婚したと聞いて「どうしたの!?」と聞いたら、私の家まで説明しにわざわざやって来てくれました(笑)。