久保利英明 第4回
「総会屋からはよく『こら久保利! ヤクザモンでも着ないような服着やがって!』と罵倒されました」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ セオは恐妻家だから当然そうでしょう。

立木 うちでオシッコするときは?

セオ ぼくは結婚して以来ずっと座ってやっています。

立木 お前は見上げた恐妻家だね。

シマジ どんなに外で威張っている亭主でも家のなかでは弱いものです。

セオ シマジさんが作った名言があるじゃないですか。「女房の目には英雄なし」と。

久保利 たしかにどこの家庭でも「女房さま」が法律なのかもしれませんね。

セオ ぼくの話はこの辺にして、久保利先生のお話を聞いていると凄く簡単なことのように聞こえてしまいますが、これもある意味で「コロンブスの卵」といいますか、最初にそのアイデアを思いつき、実際に実行したというのは凄いことですよね。

久保利 平和相互銀行と住友銀行の合併総会のときが大総会としては、はじめてだったんですよ。しかも某大手銀行から何百億も取ったという大物総会屋の総大将が攻めてくるという。

同じ日の同じ時刻に東京の平和相互銀行と大阪での住友銀行の合併総会がありまして、平和相互銀行の総会をわたしが仕切りました。

そのときの平和相互銀行の社長は防衛事務次官だった田代一正さんでした。「度胸はありますか?」とわたしが訊くと、「度胸だけはあります。シナリオがあればその通りにやります」と言うんです。

シマジ そのころはまだ肚の据わった経営者がいたんですね。

久保利 「『閉会します』というところにくるまでは、住友銀行の方も総会を終えないから心配しないでください。3時間でも5時間でも頑張ってください」とわたしが励ますと、田代社長は「わかりました」とニッコリ笑って答えました。結局、2時間で株主総会は終了しましたが、そのときがいちばん大変でしたね。

セオ それが歴史のはじまりだったんですね。

久保利 プロトタイプみたいなものでいろいろ実施はしていたんですけど、その後、わーっと全国に広がって、一括上程・一括審議方式が「久保利方式」と呼ばれるようになったんです。そうなると総会屋は手も足も出ない。