白い巨塔・大学病院「出世の階段」に「医者の実力」は関係ない?

楽をするほどカネが儲かる医療界の真実
週刊現代 プロフィール

医局での出世に必要な能力

科に君臨する教授は、一国一城の主、絶対権力者である。病院長といえども、科内の人事に口を出すことはなかなかできないほどだ。また、病院経営に関する重要事項はすべて教授会で決められる。教授会こそが病院の最重要意思決定機関である。

新しい教授を選ぶのも教授会だ。そのため教授選に立候補する准教授は、他の科の教授に根回しをする政治力も求められる。医療モノのテレビドラマで描かれるような、ごますりや足の引っ張りあいは、部分的に真実である。

ノーベル賞級の研究成果があるなら別だが、医学研究は細分化しており、専門外の論文を正当に評価するのはなかなか難しい。従って、建て前上、教授選では研究成果や臨床の実力が考慮されることになっているが、実際にはコネやごますりといった政治力が重要になるのだ。

ちなみに一昔前には、教授選の前に数百万円単位の「実弾」が飛び交うこともあったが、最近ではさすがにそこまで派手な金銭の受け渡しはなくなった。

「それでも博士号を取ったら、教授にお礼として『付け届け』をする人もいますよ。結婚式に来てもらっただけで100万円を渡したという先輩もいます。古い習慣だと思いますが、医局で出世するために、そこまでやる人もいる」(関東の大学病院勤務の内科医)

さらに教授が定年を迎えると、関連病院の院長などの名誉職が用意されることも多い。教授になれるかなれないかは、医師の出世の上で非常に大きな分かれ道となるのである。

こうして見ればわかるように、医局ではポストが上になればなるほど、用意される椅子は少なくなっていく。研究で結果を残しつつ、絶対権力者である教授のお眼鏡にかなうことによってしか、大学病院に残り続けることは難しい。

だから、医者がえらくなるほど、実力と肩書は比例しなくなる。実力とは、内科であれば、正しく診断し、適切な処方を下す力。外科であれば、手術のうまさだ。だが、それが出世に結びつかないとすれば、患者に向き合おうとしない医者が出てくるのは避けられない。