白い巨塔・大学病院「出世の階段」に「医者の実力」は関係ない?

楽をするほどカネが儲かる医療界の真実
週刊現代 プロフィール

そもそも大学病院には、診療・研究・教育という3つの役割がある。いうまでもなく、患者にとって重要なのは診療なのだが、大学病院ではむしろ研究活動に重きが置かれる場合が多い。

大学病院で出世を目指している野心のある医者は、患者を救うことよりも、いかに研究成果を上げるかということに邁進しているし、そうしないと厳しい競争で生き残ることはできないのだ。

小説『破裂』や『無痛』がテレビドラマ化され、話題を呼んでいる作家で医師の久坂部羊氏が、大学病院の根本的な矛盾について語る。

「大学病院には、患者を診る医療者と研究をする医学者が共存しています。'70年代頃までは、治療も研究も細分化されておらず、医学者が医療者を兼ねることができました。

しかし、医学の進歩によって研究にも治療にも膨大な知識が要求されるようになり、研究に専念すれば治療がおろそかにならざるをえず、逆もまたしかりの状況になりました。大学病院で出世するには、明らかに医学者(研究者)のほうが有利ですから、階級が高い医師の中には臨床が苦手な人も多いのです」

大学病院の医師のキャリア

ここで、病院における階級と組織の成り立ちを理解するために、大学病院で働く医師のキャリアがどのようなものかを見て行こう。

6年の医学部生活を終え、医師国家試験に合格すると、5〜7年の研修医生活が始まる。当直などの激務をこなしながら、自分の専門となる診療科を決めて、2年の初期研修を終えた後は「医局」に入ることになる。

医療ドラマなどでよく耳にする言葉、「医局」こそが大学病院の権力構造を読み解く上でのキーワードだ。医局とは大学病院の教授が受け持つ講座や診療科に属する医師のグループ、人事組織のこと。前出の久坂部氏が解説する。

「入局を許されるのは、その大学の出身者ばかりでなく、他の大学の卒業生も受け入れられます。医局員の数は医局の勢力と見なされるからです。入局すると、医局のヒエラルキーに組み込まれ、出世の階段を上っていくのです」

ヒエラルキーの最底辺は研修医である。内科や外科のようなメジャーな科になると20人以上も研修医を抱える医局もある。その後、研修医を終えて、博士号を取ったら助教になる。助教の数はメジャーな科で15人くらい。

その後、30代後半で講師になる。医局内のグループを束ねる、会社でいうと課長クラス。科によって違うが、だいたい1〜3人くらいがいる。

その後、40代前半で准教授に。教授の補佐役であり、1つの医局に1人が原則だ。教授を目前にした重要なポストだが、権限はほとんどなく、教授との権力格差はとても大きい。