イギリスが乗った「危険な外交ゲーム」の幕開けに、習近平の高笑いが止まらない!

英米の仲を分断する中国の露骨な「アメとムチ」
笠原 敏彦 プロフィール

オズボーン氏は、2010年のキャメロン政権発足からわずか5年で国内総生産(GDP)比12%に上っていた財政赤字を半減させた。英国の2014年の経済成長率は約3%で、先進国でトップを行く好調さである。その政治手腕でキャメロン首相の後継候補としての地位を固めたと言われている。

一方で、二大政党の一翼を担う労働党は新党首に急進左派のジェレミー・コービン氏を選出したため、2020年に予定される次期総選挙は保守党が有利と見られているのである。

そのオズボーン氏は、米中両国の将来性をにらみながら、中国への賭けに打って出たようにも見える。しかし、英中の「黄金時代」到来というレトリックが、にわか仕立ての”金メッキ”をほどこしたものに過ぎないことは明らかだ。

政治的価値観を異にし、「経済的利益の共有」だけで結ばれた「戦略的パートナーシップ」が果たして、斜陽とは言え唯一の超大国である米国が主導する国際政治の試練に耐えうるのかどうか。

米英中のトライアングルが映し出す相関関係は、漂流する国際秩序はもとより、日本が当事者である東アジア情勢にもその影響が投影されることだろう。

笠原敏彦(かさはら・としひこ)
1959年福井市生まれ。東京外国語大学卒業。1985年毎日新聞社入社。京都支局、大阪本社特別報道部などを経て外信部へ。ロンドン特派員(1997~2002年)として欧州情勢のほか、アフガニスタン戦争やユーゴ紛争などを長期取材。ワシントン特派員(2005~2008年)としてホワイトハウス、国務省を担当し、ブッシュ大統領(当時)外遊に同行して20ヵ国を訪問。2009~2012年欧州総局長。滞英8年。現在、編集委員・紙面審査委員。著書に『ふしぎなイギリス』がある。