実は検査の段階で、豊島さんは持病の糖尿病が悪化していることが分かった。今回の入院は前立腺がんの手術前に、糖尿病を改善するためインスリン治療を行う、準備のためのものだったのだ。
がん保険の多くは、入院給付金の支払い対象が〈直接、がんに関わる手術での入院〉などに限られている。素人目には、「がんの手術のための入院なんだから、同じようなモノじゃないか」と思えるが、そうではない。
保険コンサルタントの後田亨氏は、こう話す。
「がん保険に限らず、医療保険などでも、検査入院の場合、給付金は支払われません。治療を目的とした入院と同じように対応するわけにはいかないということでしょう。保険に何を求めるべきか、考えどころです。かりに、検査入院までカバーしてくれる保険が存在するとしたら、その分、保険料はとても高くなってしまうでしょう」
こんなはずではなかった、ダマされた—。さまざまな声が上がっている状況について、前出の生保社員は、こう話す。
「確かに、お気持ちは分かります。けれども、どんな場合に保険金が出るか、どんな場合に出ないかは、最初から約款にきちんと書いてあるのです。もし法的な争いになっても、申し訳ないですが、事前の確認を怠った側が悪いということになってしまうと思います」
たしかに、契約書類や約款に定めがある以上、保険金が出なくても文句は言えない。裁判をしても勝てないだろう。
だからこそ、困ったことになるまえに、「自分の保険は大丈夫か」と、もう一度、見直しておくことが必要なのだ。
ここからは、保険各種で、いざというとき出ないパターンを見ていこう。
◆医療保険〈検査入院では出ない〉
これは先にも述べた通りだが、ファイナンシャル・プランナーの長尾義弘氏は、こう指摘する。
「最近、注意が必要になっているのが、検査のためのカテーテル造影手術です。手術といっても検査ですから、結果として何の病気も見つからなければ、手術費・入院費のいずれも支払い対象とは認められません」
結果として病気が見つかり治療が始まれば、さかのぼって検査も認められることが多い。ただし、次のような問題もある。