ドキュメント・山口組「分裂の始まり」〜すべてを知る親分が私に語ったこと

溝口 敦 プロフィール

神戸山口組の「奥の手」

神戸山口組が蜂起した主な理由は、今の六代目山口組が行っているきびしいカネ集めにある。直系組長たちは毎月115万円以上を月会費の名目で本部に納めている。山口組本部には直系組長たちが差し出す会費(警察はこれを上納金と呼ぶ)だけで、毎月約7000万円以上が集まっていた。

今回の分裂騒ぎで初めて出る数字だが、このうち約3000万円が月々司組長に渡っていたとされる。年間にすれば3億6000万円。

その他、直系組長たちが拠出して中元や歳暮の時期、また司組長の誕生日祝い(1月25日)などで各1億円近くを集め、司組長には年6億円ぐらいが渡っていたらしい。

また司組長は友好団体のうち双愛会(千葉)、共政会(広島)、福博会(福岡)、東亜会(東京)を後見し、これら団体からも中元や歳暮で現金を贈られているようだ。なんやかや年間10億円前後を集金していたのかもしれない。

では、こうした収入は正確に税務申告され、納税されているのだろうか。全額ではないまでも多少は申告されているはずだ。有名ヤクザは税務署を恐れ、たいてい形式を調えるぐらいの努力はしている。が、それで万全ということではないはずだ。

実は神戸山口組側の「奥の手」として、警察や税務当局に対して証言の提供があるとされる。

数字がどれほどデータ的に裏付けできるのか疑問だが、少なくとも司組長の収入を熟知する立場にいたのはかつての山口組総本部長・入江氏である。入江氏は今、司組長に遠慮する必要がない立場になった――。