ドキュメント・山口組「分裂の始まり」〜すべてを知る親分が私に語ったこと

溝口 敦 プロフィール

直系組長らの連判状に書かれていたこと

後藤氏は同年9月、静岡県富士宮市で誕生日祝いのゴルフコンペとパーティーを開いた。芸能人が多数参加したため、催しは週刊誌で報じられ、執行部が知って問題化、後藤組長は除籍処分となった。

功績ある後藤氏に対して除籍は重すぎると、直後に直系組長たち13人が執行部を批判する「連判状」を出した。間もなくこのうち10人がそれぞれ絶縁、除籍、謹慎の処分を受けて組から放り出され、残る3人についても後日、処分が下された。

この連判状には今回の分裂騒ぎに通じる問題が記されていた。

<○直系組長たちが月々納めている会費は五代目時代と比べ35万円も増えた。使途についての説明もない。

○その上に飲料水や雑貨の強制購入がある。その収益はどうしているのか。

○五代目時代、山口組会館を建設するとして100人の直系組長から2000万円ずつ、合計20億円が集められ、用地が買われた。六代目になってからその土地は売却されたが、そのカネはどうなったのか。書類を提示した上、説明してもらいたい。

○五代目時代に貯蓄してきた約10億円はどうなっているのか。すでに消失したという噂も聞くが、納得のいく説明を求める。>

ここまで詰め寄りながら連判状グループはあっさり首を切られて、グーの音も出なかった。彼らは弘道会派に比べてあまりに戦い方が素朴で拙劣だった。果たして蜂起計画を進める直系組長たちは司組長相手に戦えるのか疑わしく思い、熱を入れて聞く気にはなれなかったのだ。

当然のことながら、私は聞いたことを記事化しなかったし、誰にも口外しなかった。だいたい蜂起・分裂する計画があるなど、記事化できるテーマでもない。またどちらに味方するわけではないが、私のせいで彼らの計画が潰れたら、寝覚めが悪すぎる。

この直系組長のことはほぼ忘れた。時々は思い出したが、蜂起・分裂計画は「その後どうなりましたか」などと聞けるものではない。それでは催促になってしまう。

今年、15年4月、私は情報会社をやっている友人から、彼のもとに寄せられた匿名の手紙をたまたま見せられた。すぐこれは直系組長が話していたことだと気づいた。

以下、手紙の要所をご紹介しよう。