[MLB]
杉浦大介「“運命のチーム”になるのは?」

~2015年リーグ優勝決定シリーズ予想~
スポーツコミュニケーションズ

 ナショナルリーグ

 メッツ(シーズン90勝72敗)対カブス(同97勝65敗)

  15日にロスアンゼルスで行われた息詰まる投手戦を3-2で制し、メッツは2006年以来となるNLCS進出を決めた。

 ナ・リーグの頂上決戦で待ち受けるのは、1908年以来、世界一から見放されてきたカブス。ニューヨーク、シカゴという大都市に本拠地を置くスター軍団同士の対決は、ベースボールマニア以外のスポーツファンをも釘付けにする華やかな戦いとなるはずである。

(写真:今後の活躍次第で、怪童ブライアントも真の意味で全国区になりそうだ Photo By Gemini Keez)

 レギュラーシーズン最後の65試合で46勝19敗と破竹の快進撃を続けたカブスは、ワイルドカードゲームでパイレーツ、地区シリーズはカージナルスと強敵を次々と撃破。クリス・ブライアント、アンソニー・リゾー、カイル・シュワーバーといった若手野手たちが続々と頭角を現し、近未来の黄金時代すら予感させるロースターを揃えてきた。

 さらに今季後半戦では、ジェイク・アリエッタという29歳の右腕が躍り出て、躍進チームの象徴的存在となった。オールスター以降のアリエッタの防御率は0.75、8月以降に限ればメジャー史上最高の0.41。カージナルスとの地区シリーズ第3戦では5回2/3で4失点と珍しく乱れたものの、この大エースはカブスにとって心の拠り所であり、メッツにとって脅威の存在であり続けるはずである。

(写真:メッツ3本柱のひとり、シンダーガードは豪速球でカブスを圧倒できるか Photo By Gemini Keez)

 一方、メッツは27歳のジェイコブ・デグロム、23歳のノア・シンダーガード、26歳のマット・ハービーという先発投手陣の3本柱がチームの根幹を形成する。それぞれ100マイル近い豪速球を投げるこの3人が試合をつくることが、勝利のためのほとんど必須条件。そして、シーズン途中にチームに加わったヨエネス・セスペデス、地区シリーズで大活躍したダニエル・マーフィを中心とする打線が必要な得点を奪い、今季43セーブのジェウリス・ファミリアが締めくくるのが必勝パターンになっている。

 シーズン中の対戦ではなんとカブスが7戦全勝。メッツは、この7試合すべてをセスペデス、デビッド・ライト、トラビス・ダーノウといった主力抜きでプレーしただけに、ここでの結果は特筆すべきではあるまい。ただ……それでも現時点での総合力ではカブスが、やや上ではないかと考える。

 死力を尽くしてドジャースを振り切ったメッツに対し、カブスは第1戦でジョン・レスター、第2戦でアリエッタという2大エースを満を持して投入できる。ポストシーズン通算12本塁打、OPS.823はプレーオフに残ったチームの中で1位と打線も好調。何より、激戦区の宿敵たちを破って前に進んできた今のカブスは、“負の歴史”を変えるだけの勢いを感じさせる。

 ニューヨークでの最初の2戦中1勝以上を挙げ、地元に戻れば雰囲気は盛り上がりそう。107年ぶりの世界一に突き進む若きタレント集団は、一躍“アメリカズチーム(全米から注目を浴びるチーム)”の趣を帯びるに違いない。

 1年を通じて働いた実績のないメッツの先発3本柱が疲れを見せるようなことがあれば、シリーズは一方的なものになりかねない。そういった意味で、メッツにとっては第1戦に先発するハービーの出来が鍵になる。“ダークナイト”と呼ばれるチーム最大のスターが、まずは快刀乱麻のピッチングでカブスの勢いを堰き止めておきたいところだろう。

 予想 カブス4勝2敗

杉浦大介(すぎうら だいすけ)プロフィール>
東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを 中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞』など多数の 媒体に記事、コラムを寄稿している。著書に『MLBに挑んだ7人のサムライ』(サンクチュアリ出版)『日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価』(KKベストセラーズ)。
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