Photo by Sergei Akulich from Burst

ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議〜「表面」世界の解明が未来を開く

『すごいぞ! 身のまわりの表面科学』

表面の世界がわかれば、未来が見えてくる!

ひと口に表面といっても、その顔は千差万別。おまけに生物から物質、マクロからミクロと見方によってその姿は自在に変化。表面とは何なのか? 表面はなぜあるのか? 表と裏の境界はどうなっているのか? 考えれば考えるほど湧き出てくる表面に関する疑問の数々……。今日からキミも表面科学マニア!

表面科学の世界へようこそ

「表面科学」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

私たちは身のまわりにある日用品から最先端のナノテクノロジーに至るまで、物質の表面における現象をうまく活用していますが、それを科学の目で解明し、さらに便利なものを作り出しているのが表面科学なのです。

ところが、表面で起こる現象を調べるのは非常に難しいことでした。1945年にノーベル物理学賞を受賞したパウリは、「固体は神が創りたもうたが、表面は悪魔が創った」と言い放っているほどです。

たとえばX線で結晶を調べようとすると、1cm2(cc)に原子は1022個(1兆の100億倍)以上あるので、簡単に構造を調べる(見る)ことができますが、表面1cm2には1015個(1000兆)の原子しかありません。つまり、結晶の中には表面にある原子の数より1000万倍も多くの原子があるので、表面の原子からの信号が埋もれてしまって表面の原子だけを見ることができませんでした。

まして表面を作ってもすぐにゴミや汚れが付いてしまい、本当の表面の姿を調べることができないまま、表面科学の研究者は長い間悪魔と格闘してきたのです。

「表面・界面を制御するものは半導体デバイスを制す」とまで言われてきたように、LSIなどの半導体デバイスの性能向上には表面や界面を調べて、それを制御する技術を開発することが必須でした。

しかし、先人の努力によって電子顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、放射光という超強力X線、など次々に新しい観察手段が開発され、表面で起きている現象をまさに「手に取るように」見ることができるようになったのです。

「見えれば制御できる」と言いますが、表面や界面を制御して新しいサイエンスの花が咲き、その果実を商品化してスマートフォンや健康センサーなど、より便利で快適な暮らしが実現しています。その様子を本書では分かりやすく解説しています。