いまさら聞けない「3Dプリンタ」〜何を作れるのか、どう役立つのか

『門田先生の3Dプリンタ入門』前書き
門田 和雄 プロフィール

この流れに乗るか乗らないかは、もちろん個人の自由である。ただし、科学技術に少しでも興味をもち、本書を手にしたあなたは、何かしら3Dプリンタに興味や関心をもっているのではないだろうか。

私自身、一般の方より少し早い2012年に3Dプリンタを海外から購入し、これまで3Dプリンタのおもしろさや難しさを体感してきた。

そこで感じることは、現在の安価で普及しつつある3Dプリンタはまだまだ精度や速度などの面で不満な点も多いが、「3Dプリンタは理系脳を鍛え、今後、クリエイティブクラスで生きていくための強力な支援ツールになるだろう」ということである。

クリエイティブクラスとは、アメリカの都市経済学者リチャード・フロリダによって生み出された階級であり、具体的には、科学、エンジニアリング、デザイン、芸術、音楽、法律、ビジネス、金融などに従事している知識労働者層のことを指す。

これらの職業において、コンピュータは既に必須のツールである。今後、これに3Dプリンタなどのデジタル工作機械を結びつけることで、より活動の幅を広げる人間が出てくるであろうと予測するまでもなく、すでに多くの活動事例が実際に生まれつつある。

 

また、私自身、デジタル工作機械を備えた市民工房を運営するファブラボジャパンネットワークのメンバーとして日々活動しており、2013年8月からは横浜にあるファブラボ関内の運営にディレクターとして関わってきた。また、世界ファブラボ代表者会議にもこれまで4回出席し、世界的なファブラボの広がりを間近で実感している。

同時にこの間、東京工業大学附属科学技術高校においてデジタル工作機械の活用を含めて、幅広く、機械工学やロボット工学の教育実践に取り組んできた。

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これらの経験を踏まえて、「わかる」「使う」「作る」という視点でまとめたのが本書である。本書は、1部「3Dプリンタがわかる」、2部「3Dプリンタを使う」、3部「3Dプリンタを作る」から構成される全8章からなる。

全体を通して3Dプリンタを理解していただけるようにするため、その科学技術的な内容のみならず、第6章では3Dプリンタとともに話題になることが多い、デジタルファブリケーションやものづくりの市民工房であるファブラボについてまとめ、第8章では3Dプリンタの未来を展望した。

現在にいたるまでの3Dプリンタブームを冷静に俯瞰しつつ、現時点での3Dプリンタに関係する基盤技術についての理解を深めていただき、3Dプリンタを使ったり、3Dプリンタを作ったりする活動への一歩を踏み出すための一冊にしていただけると嬉しい。

著者 門田和雄(かどた・かずお) 
宮城教育大学教育学部技術教育講座准教授。博士(工学)。東京工業大学附属科学技術高等学校機械システム分野教諭を経て、2015年より現職。2013年よりファブラボ関内のディレクターをつとめる。機械技術教育の実践と研究を活動の柱として、3Dプリンタ、ロボット、ねじなどに深い興味をもつ。主な著書は『基礎から学ぶ機械設計』『基礎から学ぶ機械工作』(SBクリエイティブ)、『トコトンやさしいねじの本』『トコトンやさしい制御の本』(日刊工業新聞社)など多数。
門田先生の3Dプリンタ入門
何を作れるのか、どう役立つのか

門田和雄=著

発行年月日: 2015/10/20
ページ数: 224
シリーズ通巻番号: B1938

定価:本体  860円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

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