日本のノーベル賞受賞者は10年後には激減する! データが示す「暗い未来」

研究への公的支援を根本的に見直せ
髙橋 洋一 プロフィール

求められる「パトロン的な視点」

ただ、日本が今後10年くらいすると、苦境に陥ることは確実である。これは、公的支援を従来の「選択と集中」で実行するのは限界があることを示している。

これは民主党時代の事業仕分けで露見したことだが、官僚や仕分け人に、いい研究費と悪い研究費を識別できる能力がないからだ。

その典型例が、行政刷新会議、事業仕分け作業ワーキンググループが「スーパーカミオカンデによるニュートリノ研究」を含む経費を予算縮減と評定したことだ(http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/whatsnew/new-20091127.html)。この仕分け人たちは、2002年の小柴氏のノーベル賞やニュートリノのことを知らなかったのだろうか。

通常の公的支援では、税金で集めて官僚や事業仕分けで研究費を配分するので、「選択と集中」というできないことを目指してしまう。

今後の公的支援を考えるには、まず、経済成長である。と同時、従来の「選択と集中」に代わる原則が必要だ。

それは、その研究が役に立つのかどうかわからないが支援するという「パトロン的な視点」である。そのためには、儲かっている企業や個人が大学の基礎研究に寄付して、それを税額控除すればいい。

税金で集めて官僚や事業仕分けで研究費を配分するのではなく、税を稼ぐ企業や個人が官僚を中抜きして直接配分するわけだ。これも立派な公的支援である。

筆者は、かつて官僚時代にこの税制改正を予算要求したこともあるが、結果は残念ながら実現しなかった。実は、この仕組みは、筆者が企画した「ふるさと納税」と同じ仕組みである。

今のふるさと納税の仕組みを使っても、地元の地方大学へ自治体経由で「ふるさと納税」しても、同じ効果が上げられる。地方創生の具体策として政府としても後押ししてもいいだろう。

なお、ノーベル経済学賞は今日(12日)発表される。トムソン・ロイター社の引用栄誉賞における経済学賞はのべ62人、そのうち日本人はたった一人、プリンストン大の清滝信宏氏しかいない。他分野では日本人も多いにもかかわらず、経済学では苦戦している。

(追記)
先週の本コラム(東芝「粉飾決算」問題 メディアが報じない金融庁の「不正見逃し」疑惑と処分の行方〜なぜ、誰もが消極的なのか)は、マニアックな記事だが、関係者には読まれたようだ。その後、金融庁は有識者懇談会を作るという報道があった、ところが、お笑いなのが、金融庁のほかに公認会計士協会も見逃していたのに、懇談会メンバー(http://www.fsa.go.jp/singi/kaikeikansanoarikata/meibo.pdf)に入っていることだ。東芝事件は、監視委員会の検査が端緒なのに、なぜ第三委員会に投げたのかが問題だ。これを懇談会で議論できるのだろうか。


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