日本のノーベル賞受賞者は10年後には激減する! データが示す「暗い未来」

研究への公的支援を根本的に見直せ
髙橋 洋一 プロフィール

上図を見ても、日本は、2000年ごろまで論文数シェアを伸ばしていて、世界2位をキープしていたが、今ではこれらの国の中でも4位である。最近は論文数が伸びるどころか減少しており、そのうち韓国にも抜かれてしまうかもしれない。

ノーベル賞受賞対象の研究は、受賞した年から遡って10~30年前くらいに行われていることが多い。

1985年以降、20年以上前の業績を評価されたのは、物理学賞で60%、化学賞で52%、生理学・医学賞で45%となっている。ノーベル賞は存命人物のみを対象としているので、優れた研究をして長生きした人へのご褒美ともいわれている。

いずれにしても、ノーベル賞研究は、過去の功績を十分精査され、研究時期と受賞時期にズレがある。2000年代以降、ノーベル賞受賞が増えたのは、1970年~80年以降の研究が花開いたといえよう。

ニュートリノの思い出

理系出身の筆者は、自然科学が脚光を浴びるのはうれしいが、今回の梶田氏の受賞対象であるニュートリノには官僚時代の思い出がある。

筆者が財務省(旧大蔵省)に入省した直後の1983年ごろ、面白い研究や企業を選んでどこでも出張していいといわれた。科学技術の変化がどのように社会に影響を与えるかを調べてこいという出張命令だった。

今から考えても、それが旧大蔵省の仕事とどう関係するのかよくわからないのだが、とにかくその当時建設中だったカミオカンデ(岐阜県神岡鉱山地下の観測施設)に光電管を納入する浜松ホトニクスを選んだ。

カミオカンデには残念ながら行けなかったが、カミオカンデ建設の目的が、陽子崩壊を観測することだったことは知っていた。

陽子崩壊は、物理学での究極理論である大統一理論(自然界の電磁気力や重力などを統一的に説明する理論)の構築に役立つだろうとの科学雑誌の記事を見て、それに協力する企業はどのようなところなのかと興味をもったのだ。

企業とは利益を追求するものなのに、利益追求とまったく無縁な基礎研究の典型である大統一理論に貢献するというアンバランスが面白かった。

実際、浜松ホトニクスに行った時には、実験に必要な光電管を作る技術が会社の製品にも生かせるというような一般論かと思っていたら、そうした商売の話ではなく、本格的な素粒子論が聞けて面白かった思い出がある。

もちろん、筆者の出張レポートには、理系青年らしく、基礎研究の重要性を書いた記憶がある。