【沿線革命063】“世界一の鉄道”に事件・トラブル多発!?

阿部 等

事故は半減、輸送障害は3倍

番組では、関西大学の安部誠治教授が「鉄道は1日に6,000万人運ぶ。行き帰り利用するとすれば、半分に割って3,000万人なので、国民の4人に1人が利用している。大変重要な乗り物だ」と解説した。

「今から28年前に国鉄を分割民営化してJRにした。その時と比べ、事故は半分になった一方、トラブルによる列車遅延はJRだけで2倍、民鉄だと3倍になった。安全は高まったが、安定輸送は損なわれている」

国交省が2006(平成18)年度以来、全国の鉄道事業者からの報告を取りまとめて発表しているデータを見てみよう。

下図に、JRと民鉄を併せた輸送障害(列車の運休、旅客列車の30分以上の遅延等)の推移を示す。1988(昭和63)年度以降のデータしかないが、部内原因は2倍弱、部外原因は5倍以上、災害原因は3倍以上、合計で3倍弱に増えている。

輸送障害は30年来、増加傾向(国交省HPより)クリックにより拡大

なお、安部教授が解説したようにJRより民鉄の方が輸送障害の増加率が高いのは、地方民鉄の財務状況が厳しく、設備や車両の増強へ資金を回せず安定輸送を大きく損なっているせいだ。大都市の大手民鉄の輸送障害は3倍といった大幅増ではない。

どうして、事故は減っているのに輸送障害は大幅に増えているのか。設備も車両も頑丈になり、従事員の取り扱い誤りを防ぐシステムは拡大し、訓練も重ねているのに。

一言で言って、安全を追求した結果だ。

従事員の判断でもお客様からの申告でも、少しでも心配があったら止める、いったん止めたら徹底的に確認するまで動かさない。そうすれば確かに安全は高まるが、安定輸送は損なわれる。

関連記事

おすすめの記事