脱税の温床? 芸能界の悪しき「ご祝儀」制度に切り込む
~あの大物プロデューサー逮捕で発覚

田中 周紀

次に逮捕されるのは…?

SL社を設立した不動産会社社長と、別の芸能プロダクション社長の関係先からは07年以降、10数億円を無担保で借りたままになっている。

さらに、分かっているだけでも東京都内の画商の顧客から2億円、東京・新宿区の住宅メーカーから1億2千万円、和田容疑者の友人が経営する京都市の著名な漬物屋から5千万円、大阪市の大手イベント会社社長から2千5百万円を無担保で借りたままだという。

関係者によると、債権者はまだまだいる、とのことだ。この人の暮らしには、一体どれほどのカネが必要なのだろう。

借金した当初から、返済の見込みがあったとはとても思えない。麻痺しきったその金銭感覚には、慄然とさせられるばかりだが、和田容疑者と夫人は、債権者に対して返済できない理由の説明や謝罪を一切していないという。

合計8億5千万円ものカネを和田容疑者に貸したまま、現在までビタ一文たりとも返済を受けていない不動産会社社長は告訴前に「ロビー氏はカネを借りたら『もらった』と思っている。手掛けたアーティストがブレイクするかどうかなど、彼にはどうでもいいこと。利用されたヴェルヴェッツこそ、彼の最大の被害者です」と話した。

今回の特別背任事件を受けて、捜査当局が和田容疑者のこうした問題にまでメスを入れるのか、引き続き注目だ。

前述したとおり、芸能界には「ご祝儀」という悪しき慣習がいまだにはびこっている。そのカネの流れを解明することは困難だが、何かがきっかけとなって、それが表に出てくることがある。次に逮捕されるのは、あの大物かもしれない。

ジャーナリスト。1961年島根県生まれ。85年に共同通信社に入社。国税当局担当、証券取引等監視委員会(SESC)担当などを歴任。00年にテレビ朝日に転職。02年から04年まで「ニュースステーション」「報道ステーション」のディレクターを務め、06年から10年まで再び国税当局とSESCを担当。その後、フリーに。著書に『国税記者』(講談社)、『飛ばし 日本企業と外資系金融の共謀』『TVニュースのタブー』(光文社新書)などがある。


 ★ 読みやすい会員専用のレイアウト
 ★ 会員だけが読める特別記事やコンテンツ
 ★ セミナーやイベントへのご招待・優待サービス
 ★ アーカイブ記事が読み放題
 ★ 印刷してじっくりよめる最適なレイアウト・・・などさまざまな会員特典あり

▼お申込みはこちら
 http://gendai.ismedia.jp/list/premium