常総大水害から1ヵ月 
極限状態で自衛隊ヘリが救助した「2匹の犬と50代夫婦」を訪問

初めて犬の名前を明かす
週刊現代 プロフィール

他の人にも話を聞いたが、行方は知らないという。一緒に救助された犬は大丈夫なのか。

「救助された直後は、避難所の外に繋がれていた。犬の様子?ちょっと元気がなさそうだったな」(別の避難住民)

避難所でも目ぼしい情報を得ることができなかったため、やむをえず元々、夫婦の自宅があった場所へ戻り、近所の人に羽鳥さんの行方を尋ねて回った。おそらく奥さんの実家に身を寄せているのではないか、との情報を得ることができたが、正確な場所が分からない。車を走らせ周辺を捜索する。国道沿いにある一軒の民家の前を通りかかった、その時だった。

「いた!あの犬だ」

2匹の柴犬が玄関先に繋がれている。くりくりとした可愛い目、間違いなくテレビ中継で見たあの犬だ。

するとちょうど、羽鳥さん夫婦が軽トラに乗り込もうとしているのが見えた。慌てて車を降り、駆け寄る。

—すみません。週刊現代です。

「申し訳ないですが、取材はすべてお断りしているんです」(ご主人)

—少しでいいので、お話を聞かせてもらえませんか。

「私たちは犬と一緒に助けてもらったけど、泣く泣く自宅に犬や猫を置いてきた方もいる。たまたまテレビで映し出されたことで、犬の話だけが注目されて伝わるのはちょっと……。被害に遭ったのは私たちだけじゃないから」(奥さん)

—ワンちゃんの様子だけでも教えてもらえませんか。

「おかげ様で元気です。避難所にいると、取材が来て迷惑がかかるので被災後すぐにこっちに連れてきた。でも慣れない環境でストレスがたまっている。エサは食べているけど、ちょっと痩せてしまった。

とにかくまだ心の整理ができていないので、そっとしておいてほしい。自分たちもそうだけど、家が流されてしまった人は、これからどうしようか、不安で一杯なんです」(ご主人)

そう言い残し、羽鳥さん夫婦は車に乗り去って行った。その間、2匹の犬たちは大人しくこちらをじっと見つめていたが、突然、小さいほうの犬が吠え出した。ご主人の言う通り、ストレスがたまっているのかもしれない。

初めて明かされた犬の名前

この日は、それ以上話を聞くことができず、やむなく一旦引き上げることにした。

その翌々日、本誌は再び、洪水で流された羽鳥さんの自宅へと向かった。しばらく現場を眺めていると、軽トラに乗った一組の男女がやってきた。