組織の能率を低下させる「言い訳優先人間」との闘い方

野口 悠紀雄 プロフィール

しかし、会社のように組織として仕事をしている場合には、必ずしも個々の構成員が自分の思い通りに仕事をやり方を変えることはできません。そして、「見せかけの安心に過ぎない」ということを理解するのは、決して容易ではありません。このため、厄介な問題が起こります。

つまり、「いかにして会社の業績を向上させるか」ではなく、「問題が起きた場合にいかにして言い訳するか」を優先させる「言い訳優先人間」が増えてしまうのです。

本書の第2章で述べるように、成果が評価されるのではなく減点主義が支配的になっている場合に、このような「言い訳優先人間」が増殖する傾向があります。それは、組織の能率を著しく低下させる病です。

日本の大企業ではことにこの傾向が強く、条件が変化してもそれまでの事業を惰性的に続けていくことになりがちです。これを変えることは、日本にとって重要な課題です。この問題に対処するには、大局を把握できるリーダーが必要です。

エクセルで図を書きまくり、名人の技を盗みまくる

ビッグデータや人工知能を用いてビジネスのコアを見いだすのが可能になりつつあると言いました。ただし、これは、企業全体としてのビジネスモデルを見出したい場合に、組織が全体として取り組むべき課題です。

それは、一人一人が日常の仕事において使えるものではありません。では、組織の中の人々が、仕事についてのコアを見出したい場合には、どうしたらよいでしょうか? 本書は第4章で、つぎの2つを提案しています。

第1は、データの分析です。「分析」と言うといかにも高尚で基礎知識が必要なような気がしますが、そうではありません。Excelを用いてデータを図示してみるだけでも、かなりのことが分かります。

商品別あるいは営業部員別にどのような成績を収めているかを分析することなどが、簡単にできます。その結果、コアの商品やコアの部員を見つけ出すことができるでしょう。