アメリカ時間の9月24日夜、国賓として訪米した習近平主席夫妻を迎えてホワイトハウスで晩餐会が開かれ、翌25日午前中に米中首脳会談、そして昼に共同記者会見が開かれた。
今回の習近平主席の訪米を一言で表せば、「中国の熱気、アメリカの冷気」である。
習近平政権は今回の訪米を、今年の中国外交最大のイベントと位置づけ、それこそ国を挙げて推進してきた。
安倍晋三政権が安保関連法案を強行採決した時、本来なら中国は激しく反発しそうなものなのに、なぜかおとなしかった。それは、すでに習近平訪米3日前から、中国国内の報道が、ほとんど習近平主席の訪米一色になっていたからである。
これに対し、アメリカはと言えば、トップニュースはいつも、同時期に訪米したローマ法王の一挙手一投足である。習近平主席は、俗な言い方をすれば、邪険に扱われていた。
象徴的だったのは、25日昼に開かれたオバマ大統領と習近平主席の共同記者会見である。
アメリカ人の女性記者が、「その場を借りて」オバマ大統領に、危機に陥ったアメリカの来年度予算について問い質し、オバマ大統領が長々と答えるという場面があったのである。その間、オバマ大統領の向かって左側に立った習近平主席は、「なんのこっちゃ?」という表情で、イヤホンを耳に当てて興味なさげに聞いていた。
ちなみに中国中央テレビはこの56分間の会見を生中継せず、会見終了から4時間半を経て、12分間のダイジェスト版を放送した。しかも、中国人記者二人のヤラセ質問(あらかじめ政府に指示された質問をして、習近平主席が用意した「模範回答」を読み上げる)の部分を強調して放映したのだった。