消費税25%でも、相続税はナシ! ゼロからわかるスウェーデン「超合理的な社会」のしくみ

週刊現代 プロフィール

一方で相続税は'04年に廃止された。これはもともと相続税が税収全体に占める割合が極めて低く(贈与税と合わせて全体の0・2%)、富裕層が税金対策のために海外に逃げ去ってしまっては逆に税収全体が落ち込む懸念があるという合理的な考えから廃止された。

相続税が廃止された時も、「金持ち優遇策だ」という批判は起きなかったという。今年から相続税が強化された日本とは正反対の政策だ。

「スウェーデンの政策は極めて合理的に決められています。財源をどう使うかは基本的に、各自治体に委ねられていて、様々な議論が行われる。

例えば、ある医療サービスが足りないという意見があれば、今の税率を何%上げないと、そのサービスは行えませんがどうしますか、という議論になり、住民の理解が得られれば税率を上げてサービスを充実させる。

逆に税率が高すぎるということになれば、どのサービスを廃止しますかという議論になる。受益者は自分たち自身であり、その見返りとして当然、負担が生じるということを住民はよく理解し、納得しているのです」(湯元氏)

ひるがえって日本の場合は、医療保険制度があるので、保険料を徴収し、それでも足りない部分を税金で補っており、カネの流れが複雑だ。財務省は社会保障を充実させるために消費税を引き上げると説明しているが、具体的にどんなサービスが拡充されているのか、よくわからない。

だから増税の議論になると、国民は反対せざるを得ない。払った税金が汚職で消えたり、利権まみれの政治家や官僚のポケットに入っているかもしれず、結果として日本人は、負担にふさわしい福祉を受けているという満足感がまったく得られないのだ。

皆一緒に森へ還る

スウェーデンの政治の面白い点は、ランスティングやコミューンの議会の議員の大部分が、政治家とは別に本業を持つ兼業議員であるという点だ。

「彼らは議員職を通じて、歳費をもらっているわけではなく、会議に出席した時間に応じて時間給をもらっています。本職は会社員、医師、看護師、大学教員、農家だったり様々で、いわばパートタイムの政治家たちなのです。議会は月に一度、議員たちが本業の仕事を終えた17時頃から開かれます」(湯元氏)

中には執行委員会のメンバーの一部に専業の議員もいるが、わけのわからない出張をくり返し、釈明の会見で涙交じりにわめき散らすようなダメ議員が皆無であることは言うまでもない。