[プロ野球]
佐野慈紀「去りゆく“戦友たち”へ」

スポーツコミュニケーションズ

 小笠原&和田、フルスイングの原点

 小笠原と和田には共通点があります。パ・リーグ出身の2人とは、彼らが若い頃に対戦しましたが、先輩ピッチャーに臆することなくフルスイングしてきました。

 ピッチャーにとって、フルスイングしてくれるバッターほど嫌なものはありません。あれは僕がプロ入りして間もない頃のことです。藤井寺での西武戦。清原和博さんの“ブーン”というスイング音は一塁側のベンチにまで届きました。“ウワッ、こわ!”と思ったものです。

 小笠原や和田にも、それに近い迫力を感じました。普通、疲れがたまるとスイングスピードが鈍るものですが、彼らにはそれがありませんでした。

 そういえば、2人ともキャッチャーの出身です。キャッチャーは試合中、ずっと立ったり座ったりの繰り返し。しかもカバーのために、一塁まで全力で走らなければならない。体に力がなければ務まるポジションではありません。2人のフルスイングは、下半身の強さがもたらしたものと言えるでしょう。

 通算1927安打の谷は、僕が最も苦手としたバッターです。どこに投げても打たれる気がしました。内から外へと揺さぶりをかけてもフォームが崩れない。オリックス時代にはイチロー以上に警戒していました。

 いずれにしても、対戦経験のある選手がユニホームを脱ぐのは寂しいものです。今後は指導者として、あるいは評論家として第2の人生を歩むことになると思われますが、これまでの経験を大いに役立ててほしいものです。

佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商-近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日-エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)-ロサンジェルス・ドジャース-メキシコシティ(メキシカンリーグ)-エルマイラ・パイオニアーズ-オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。