証券会社勤務から40代で料理家に転身。
NY在住25年、再婚・出産を経て切り開いた第二の人生

ニューヨークを舞台に「挑戦」する日本人――料理家・ひでこコルトン
公文 紫都

「確かに離婚前後は辛くて、身も心もズタズタ……。親からは何度も、日本に帰って来いと言われていました。でも、辛い思い出だけがニューヨークの全てになっちゃうのはイヤだったので、『ニューヨークで幸せになるまでには、絶対日本に帰らない』と決めたんです」

幸い、米国永住権を取得していたこともあり、そのままニューヨークに残ることを決めたコルトンさん。しかし離婚直後は、フランスに越すことも考えていたとか。

「傷心旅行で、何度か大好きなヨーロッパに行きました。そこで本格的なフランス料理を目の当たりにし、『やっぱり私はフランスに来るべきなんだ』という気持ちが芽生えたんですが、フランスはやはり階級社会。多少フランス語が喋れたくらいでは、現地で仕事をするのは難しいと分かってきたんです。もちろん私には、大好きなパリだったら一人で生きていけると思えるくらいの情熱はありましたけれど、色々考えた結果、フランスで働くのは現実的ではないのかなと。

対して、アメリカ人は明るくてオープンで、外国人だろうと女性だろうと、個性を強みに頑張っている人は受け入れてくれる風土があります。なんといっても、ニューヨークはアメリカン・ドリームを掴むために、世界各国から人が集まっている場所ですからね。努力して認めてもらえれば成功する可能性が広がります。

また、明るくエネルギッシュなアメリカ人の良さが分かり始めてきたころでもあったので、ここでもう一度頑張ってみようと思ったんです。それに、チャレンジが大好きという性格も奏功したんでしょうね。結婚している間は保守的でしたけれど、離婚してからものの見方が変わり、人生がおもしろくなってきました」

出産やサブプライム危機を経て料理家に

37歳のときに、現在のご主人と再婚。39歳で、第一子を出産しました。ようやく手に入れた幸せな結婚生活と愛する我が子でしたが、UBSでの仕事は激務で、お子さんを乳母に預け毎朝7時半に出社し、20時過ぎに帰宅するという日々。帰宅時にはすでにお子さんが寝ていることもあったそうです。

「長年夢見てようやく授かった我が子なのに、私、子どもと一緒に過ごせてない……と、だんだん悲しく思えてきて。それに、『この先おばあちゃんになったときも、自分は株屋なのか?』と考えたら、『いや、それは違うでしょう!』と気づいたんです」

そこで改めて自分の将来を見つめ直し、「まずはしっかり子育てをしたい」という結論にたどり着きました。それから自分が理想とする生活で夢を叶えるためには、「起業して、心底愛し一生かけてしたい仕事、つまりフードビジネスしかない」と、42歳にしてついに料理の道へ進むことを決意します。2009年、サブプライム危機で会社が大打撃を受け縮小モードに入っていたこともあり、10年間勤めたUBSを後にしました。

料理の道に進むと決めてからは、一生懸命どんなビジネスを手がけていくか思いを巡らせました。「仕事だから趣味で終わらせるのではなく、収入もあり認めてもらわなきゃいけないし、何か価値を生み出していかないといけない」。突き詰めた結果、UBS時代の経験が料理の仕事にも活かせるのでないか? という考えに至りました。

UBS勤務時代、株のセールスとして米国企業のトップアナリストと日本人機関投資家の間に入り、推奨銘柄を伝えながら交渉を円滑に進めていくための仲介役も務めていたコルトンさん。「これと同じ形を料理の世界にも持ち込めないだろうか?」と、ニューヨークの優れたシェフを日本人に知ってもらうきっかけを作ったり、ニューヨーク流のおもてなしを日本人に伝えていく機会を模索し始めたりするようになりました。

そうしてあるとき、家族ぐるみで仲良くしていたセレブリティシェフの、デビット・バーク氏(ニューヨークを中心に、米国で数多くの有名店を輩出しているカリスマシェフ)に、自身の新規ビジネスについて相談する機会が訪れました。

そこで持ち上がったのが、デビット・バーク氏を講師に迎えた「フードイベント(お料理教室)」。"ニューヨークならではの料理を、日本人に伝えていくビジネス"に興味を持ちつつも、どう始めたら良いか分からなかったコルトンさんは、「目の前にアメリカ料理でサクセスした人がいるじゃない」 と、意を決し提案を持ちかけてみたそうです。

イベント自体は、UBS時代に数多く経験していたので得意分野ですし、日本人(客)とアメリカ人(シェフ)をつなぐことも、UBS時代に行ってきた業務に通じる部分があります。デビット氏が快く受けてくれたこともあり、コルトンさんの最初のビジネスは、カリスマシェフ、デビット・バーク氏を講師にした料理教室に決定したのでした。

後編はあす公開です

ひでこコルトン
料理家、COLTONS NEWYORK代表取締役。NY在住25年。CIA(Culinary Institute of America)にて料理の基礎を学ぶ。外資系投資銀行に10年勤務した後、「NY*おもてなし料理教室」を主宰するフードを中心としたLifestyle Company - COLTONS NEWYORKを立ち上げる。メンバー数は2013年に1000名を超え、世界の食材を使ったNYならではの調理方法は、NY駐在員の奥様方を中心に大使夫人をも魅了し、メンバーのみならず世界からの参加者や旅行者、そしてプライベートクラスを受けるセレブリティでいつも満員である。NYスタイルのおもてなしに欠かせないフラワーアレンジメントやCOLTONS NEWYORK FOOD & WINE CLUB、そしてプロフェッショナルのための認定講座も開催中。ハイエンドなWedding等イベントプロデュースも手がけている。また米国でのビジネス展開、商品PRやレシピ開発といった企業顧客向けのサービスも行っている。メディアで幅広く掲載され、2012年より米国フジテレビの料理コーナーにレギュラー出演中。 *オフィシャルパートナー:Noritake Co. Inc. ホームページ:www.coltonsnewyork.com、ブログ:http://ameblo.jp/coltonsnewyork、フェイスブック:https://www.facebook.com/hideko.colton、インスタグラム:https://instagram.com/hidekocolton


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